ポンキッキ学習ビデオに関する傾向と対策

第四巻「かぞえてみよう」

 ということで、ビデオ感想シリーズも終盤です。
 4巻目は「かぞえてみよう」ということで、テーマが算数的なものになります。
 算数。
 そう、数えるのだから数字を主とした構成になるのは当然です。
 とりわけポンキッキは数字とか数えるとか仲間わけとか、いわゆる「算数的」なものに力を入れていたようで、何かの資料にありましたが、他の幼児番組よりもポンキッキ見てる子の方が数字に強いって統計がでてたらしいです。ほんとに。
 ある意味自慢ですね。
 でもまあ確かに、思い返すと、数えたりするスポットは結構あった。
 しかし実際の放送時にはそればっかでなく他の種類のものも混ぜられるわけで、「そんな自慢できるほど数字に力入ってたっけなー?」って疑問に思う部分もあるにはあるわけです。皆さんはどうだろうか。ちなみに私にとってのポンキッキってのは、数字とか平仮名とかよりも、妙な勢いの歌だったり兄さんだったり凄い感性の何をしたいのかよく分からんスポットだったりするので、やはりあまり「勉強」って分かりやすくくくられるものについて記憶が薄いんでしょうかねえ。
 
 そんな話は聞き飽きましたか。
 まあいいや。
 そういうことで、今回このビデオは純粋に「かぞえる」スポットばかりが押し込められてます。
 思ったよりも数えますよ。
 覚悟してください。


1.おふろのかぞえうた歌い手 茅蔵人(ビックリ・エレクトリック・カンパニー)
 いきなり数え歌。
 ね?数えるでしょ。
 数え歌というか、数字の歌の代表と言えばもう「いっぽんでもにんじん」の右に出るものはいないわけだが、それは最終巻の最後にきちんと入ってるので大丈夫です。とりあえずこの歌で数を数えよう。
 タイトル通り、風呂に関することが羅列される歌だ。「ひとつとせ 一人お風呂に入るときゃ 湯加減ママにみてもらおう」ってな調子で、風呂に入って出るまでの一連の作業を歌にしています。曇った窓に絵を描くとか遊び要素もこめられてるんで、作業ばっかってわけでもなさそうなんだけど。
 そういや私これ、集中講義のとき「やっつとせ パパとお風呂にはいったら〜」っていうとこ、「ママとお風呂にはいったら」って聞き間違ってたらしくて、ここだけ数えと出だしが韻を踏んでなくて残念だって口走ってましたよね。ごめん。それ間違いです。
 「パパ」で入るなら、発音的に「は」の音なので「やっつ」とかけられてて韻を踏んでないことはなさそうです。
 ・・・・・・いや、それでも無理があるかな。
 とりあえず子供に対して、パパでかすぎ。そりゃ湯もなくなるってものだ。
 結構いい歌ですよ。ラストの「ね て しまお」ってとこの声、やっぱかっこいいしな。

 ただ、このビデオにおいて注目すべきなのは、解説本の最後に書かれてる「(前略)ポンキッキのヒットソングの1曲です。とにかく、1から10まで数を数えてみようということです」って文章だ。
 「とにかく」、「数えてみようということです」
 ああもういいから数えろよ!そういうもんだよ!・・・・・・みたいな、なんか一瞬この冊子の編集者が何もかもを投げてしまったような気がして、ものすごい好感が持てました。
 私は間違ってるのか?

2.数唱1〜10
 1〜10の数字が順に出てくるんだけど、数字とそれに対応した数いる動物の絵を交互に出して数を数えてくつくりです。
 「8」の数字を映したら次に8匹分の猫の絵を見せるとか、「10」を映したら10匹分の豚の絵を見せるとか。
 目と耳をフル活用して数字を覚えさせるって魂胆なんだろうなあ。
 数字は単なる記号だけど、該当する数だけ並べて視覚的衝撃を与えてるってことなんだよね?

3.バラバラのものを数える

 空に飛んでる数羽のスズメを数えよう、というガチャピンムックの1コマ。
 どう見ても6羽飛んでるんだけど、奴らは動き回るのでどうしてもきちんと数えることが出来ない。4羽目くらいでわけわかんなくなる。一度ムックの「動かないでくださいよーっ」って声に全てのスズメが行動をその場で停止するのだが、やはり数えきるまでに再び動き出すのでどうしても数え終えることができない。
 こんなときはどうするのか?バラバラに存在するものを数えるのに何かいい方法はないのか?
 いろいろあるだろうが、ここでは一列に並ばせました。
 二人の掛け声、「一列にー並べー!」で整列していくスズメの群れ。ある意味すごいことだよな、これ。

 ほら、並ぶとこんなに数えやすい。
 そして無事、二人はスズメを数えきることができたのでした。
 動いてるものは止まらせろ、ぐちゃぐちゃしてるもんは整えろ────そういうメッセージなのでしょうね。

4.数える 8回
 猫が飛びます。最初に提示された数だけぴょんぴょんと。
 「何回飛ぶの?────8回!」と言われたら、もう猫は8回飛ぶしかないでしょう。
 このシリーズというかなんというか、猫が言われた数だけ魚の絵に向かって飛ぶってのは繰り返し放映されてたはずだ。ものすごい見てたし、懐かしさを通り越してこのスポットは少し飽きてきた感もある。だって8回飛ぶの見てるだけだし。猫すげえ飛ぶなあって感心する程度の思いしかないのです。
 いや、だから、それっくらい放映されてなかった?
 でも、今回、ビデオ見てて気付いたことがあった。
 序文でも触れたけど、猫じゃらしのような、何かピンポン玉っぽいような道具で猫の気を引きつけて飛ばしてるんだね、あれ。背景が白で道具も白いから気付いてなかったよ。
 ね?猫、何かにじゃれついてるでしょ?
 そりゃまあ、何か仕込んでないと猫だって飛ばないよねえ。
 なんか丸いものにじゃれながら退場していく猫を見ながら、そんなことを思った。

5.どっちが多い

 上の写真の通り、ものすごいけったいな造形の2匹の怪獣が白い皿に赤い卵をのせて持ってて、さてどっちの卵の数が多いでしょう?────っていうやつ。
 純粋にこの2匹が怖い。左は氷、右は火を吐きそう。そのままだな。
 3つと4つなので、数えながら並べていけぱ4つの方が多いとわかる、というスポットです。
 やっぱり「数える」「数字の大きさを学ぶ」ということを映像化するなら、こういう形式になっちゃいますよね。どうしても。
 ああでもやっぱ、私としては、怪獣の卵って赤いのか!とかこの怪獣は怖がられなかったのか?とか、なんかそういうことの方が気になる。そういうスポット。
 どうなんでしょうか、実際。あの絵柄はいいものなのか?

6.プゥちゃん 3は2と1
 ボールが2個並んでおり、そこへプゥちゃんがあらわれボールに変身。
 「ボールが2個・・・・・・・・(プゥちゃん変身)ボールが1個、合わせて3個」
 赤いチューリップが2本並んでおり、そこへプゥちゃんがあらわれ白い花に変身。
 「赤い花が2本・・・・・・・・(プゥちゃん変身)白い花が1本、合わせて3本」
 と。
 そんな形態で、スカートをはいた子二人と縄跳びしたり、とびあがってる石2個と並んでみたり、カラスの横で木に逆さに止まってみたり、宙返りする2匹のヤギの横で飛んで、熊の入ってった穴二つの横にもう一個あった穴に自分が入ったりする、そんなプゥちゃん劇場。
 しかし宙返りするヤギってすごいな。
 主旨としては、「3は2と1ということと、同類のものはまとめて数えることが出来る」ってことを理解するため、繰り返し繰り返し飽きるくらいに2に1が加わって3になるってことを表現してるようです。
 要は足し算の勉強なのかと思うのだが、それとは違うんだろうか。
 にしてもプゥちゃんは可愛いなあ。丸っこいってのも可愛い一要素ではあるが、あの声もなかなか可愛さに寄与してるよね。
 「プゥちゃんの入る穴が1つ」とかいう台詞も、この子が言うからこそ可愛くて仕方ない。
 そうかあ、プゥちゃんが入るのかあどんどん入れよお?・・・・・・と、思考が変態じみてくる。それくらい可愛いんだよこの子!
 大体プゥちゃん以外のサブキャラも可愛いってのがにくい。ボールや石にも顔があるんだけど、ボール2個が寄り添って話をしてるとこの仕草なんかもう、なんか知らんが可愛すぎてどうにかなりそうだ。私が。もう数字の勉強とかしてる場合じゃねえよ!あのボールをくれ!・・・・・・と思う。
ね?可愛いでしょう!丸いから余計に!
 そしてあらゆるモノに変身していくプゥちゃんの特殊能力────。
←逆さになってるカラスがプゥちゃん変身後のもの。形どころか色までも相手に似せることのできるその変身能力は、きっとその可愛さ効果も相まって世界すら狙えるレベルに達してます。マジで。コーナーの中では幼さも相まってちょっと抜けてるのんびり屋さんってイメージ強いが、本来は授かってる能力も含めてかなりできる子なんだろうなあ。この子の成長が楽しみだ。
 なんたって、こんなときなんていうのおじさんもバックについてるわけだしな!
 いや、それはまあいいとして。
 ほんとにこの子すごいって。
 バーバパパ一家の変身能力程度なら既に越えてるから。

7.自然数系列
 7・1・3・9・5
 この数字を数の小さい順に並べろというスポット。
 2段階ありまして、
 1・3・7・5・9
 って並べて「ちょっと違うんじゃない?」ってつっこみの後、
 1・3・5・7・9
 って正しく並ぶ。
 数の大小をきちんと理解してほしいわね、っていう意味がこめられてます。
 毎回思うんだが、「一度間違える」ってのは重要な要素なんだろうね、きっと。

8.なくなって「0」
 生々しいゴリラに襲われそうなので、ビスケットを一枚ずつ渡して逃げようとするのだが、ガチャピンの余計な物言いにより逃げる隙がなくなり、結局持ってるビスケットはゼロになってしまって困るんだけど、その時にはゴリラは満腹状態なのでとりあえず危機は去った────という寸劇による、「なくなったらゼロになっちゃいますよ」って数字の勉強。
 ゴリラと言えばあれです。
 ビデオの1巻、最初のコーナーですよ。
 ジャングル探検にきた二人、ムックがゴリラに遭遇しそれをガチャピンに伝えようと四苦八苦するってヤツがありましたが、多分そのゴリラと同じヤツです。ジャングルに始まったこのビデオ、影ではまだ二人の冒険は続いていたのですよ。
 数字とかより、そっちの繋がりの方に感銘を受ける私ですが、そんなことはどうでもいいよね。
 ガチャピンがムックに「リュックん中に餌があったじゃん」と告げ、ムックが「そうでした」と言って取り出す5枚のビスケット。
 それを1枚ずつあげていくわけです。
 1枚あげてさあ逃げよう、ってとこでガチャピンが
 「あと何枚?」
なんて余計なことを聞きやがり、その上ムックは丁寧にそれに答えるもんだから、
 「1、2、3、4・・・・・あと4枚」
とかやってる間にゴリラはビスケットを完食、次を寄越せと迫ってくる。
 それの繰り返しの末に、
 「残りは何枚?」
 「もう、ゼロ〜!」
ってなってしまうわけです。(↓下図参照。枚数確認→要求により譲渡→結局なくなる)

 わかりやすい構成ですが、しかし、「そんなことしてる間に逃げろよ!」とつっこみが入りまくりな話ですよね。
 とりあえずガチャピンがゴリラを連れてきたくせに、ムックにゴリラとの交渉を全て押し付け更に余計な一言で逃げる隙すらなくさせる、という最低な行動が拝めます。
 詳しくはこっちを参照ね
 いや、ま、冗談だけどさ。

9.逆唱10〜1

 10枚並べられたカードと、10個並べられた赤い玉。
 10から1まで逆に数えてくのだが、一つ減るたび赤い玉も一つ減っていくという仕組み。
 カードは画面外に、赤い玉もどっかへ飛び去っていくんだけど、カードがなくなるにつれ見えてくる暗い穴とそれに飛び込む赤い玉を見たとき、「ああ!この穴に吸い込まれてったのか!」と妙な納得をさせられるます。ほんと。そこ、別に納得する必要ないんだけど。

 なくなったら「0」である、この学習についてはしつこいくらいやってたんだね。
 このスポットも見飽きるくらい見たよなあ。

10.数字の読み
 「21」と読む。
 いきなり二桁を読ませる。何の前振りもなく。
 21の下に並べられた、21個の小さな図形。
 「数字」と「その数分の何か」を並べることはやはり基本のようです。

 ポンキッキは数字学習に対してある程度の自負があるのは前述の通りです。その一環に「二桁の数字を見せる」ってのも入ってて、そういう少し高度な学習を混ぜてるってのも番組の特色なのだろうと思われます。

11.うた「1・2・3」
 英語で歌う「1・2・3」です。
 ポンキッキ内で作られた英語歌の中で、数少ない認められるものの一つ。前巻に入ってた、「ABCのうた」と作ってる人が同じで、故にそのせいでか出だしの部分とかそっくり同じような気がしないでもないが、んなこたどうだっていいパワーがある。
 歌だけ聞いてるときは、単にかっこいい歌なんだけど、やっぱり映像が入ると違う。
 ポンキッキはテレビ番組だから。映像がついてこそのポンキッキだから。あの歌に映像がはいるとそのかっこよさに拍車がかかりすぎて、桁外れにわくわくしてきちゃいますよね。
 そりゃ確かに数数えてるだけです。歌に合わせて。
 映像をお見せしたいのだが、ABCのときとは違い、あれは止め絵で魅せるものじゃあねえなと思うので画像は省きますが────通してみるとかっこいいんだよ。英語でも日本語でも数字を数えられるようになる歌なのです。
 この一曲で、このビデオに今まで入ってたもの全て、それらを補ってしまいそうな勢いだってあるわけだ。しかも英語まで覚えられる。何度も言うように英語学習を絶対に肯定はしませんが、この人たちの作る歌には脱帽するよりないので────極端な発言をしてしまおう。

 この歌一曲で、1〜10までの数字学習はばっちりだ!

 そういうこと。
 極端すぎですか。
 これを最後にもってくるのはいい構成だ。おさらいになるし。



 ビデオ4巻はこんな感じです。
 なんだかビデオの本質とは関係ないことに目を奪われがちだな。いつものことだけど。
 あー・・・・・・なんかさ、これ書きながら考えるんだけど、「数字学習」のビデオ感想って難しいね。
 もちろん今までのだって難しいっつーか、読み手にちゃんと伝わって楽しく読んでもらってんだろうかって不安と疑問はつきまとってんのはそうだし、むしろ私の妙な勢いしか伝わってないんだろうなとは思ってるんだが。
 あのね、今までのは国語がメインで、ある意味情緒的な部分もないこたなかったわけです。
 でも数字って情緒があるかって聞かれると、あんまりないよな。
 だって、このビデオ、タイトル通り「数えて」るだけだもん。機械的に。
 数字を数えることがメインのものにおいて、どの項目をとりあげたって「数えてます」としか言いようがないじゃないか。1から10まで数えて、10から1まで逆に数えてみたりして、なにもなくなりゃ0なのだと、そんだけのビデオなんだよな。ぶっちゃけ他のものより面白味はない。
 何故かって考えて、今までよりも、より、「学習」ってことが前面に押し出されてしまってるからかなと思った。「算数」関係の映像って。
 だってどう考えたって数えるだけのものは数えるだけだし、次にくる最終巻「どんななかま」よりも、どうしても機械的な映像になっちゃわないか?そうなると飽きがくる。飽きがこないよう、手を変え品を変え演出を凝っていく。そしてこれだけの、いろんな種類のスポットを作ってしまわれたと。
 となると。
 やっぱスタッフはすごいぜ。
 その才能や熱意は嫉妬するどころの騒ぎじゃない。ひれ伏すしかないです。
 かなわねえよな、昔の人には。
 と。
 ────そういう結論に、やっぱ落ち着くか。
 全体的に見て、多分、4巻が一番面白味がないです。我々から見れば。
 対象年齢のお子様が見ればまた違うんだろうけど。
 でも見所がないわけじゃない。ラストの「1・2・3」の歌はあるし、プゥちゃんは可愛い。なにより、リアルタイムで見てたモノがちゃんとそこにある。だって猫が飛んでるし!「21」を読むとこで使われてた曲(スクールウォーズかなんかの歌か?なんかあの辺のドラマのやつ)は懐かしいし!一個一個はいいものなんだ。
 ただそれが寄り集まると、ちょっとばかし、学習って匂いが鼻につくと、そういうことになるわけですよ。
 鼻についてしまうと拒絶反応でちゃいますが、ポンキッキの中ではうまいこと混ぜられて学習臭みたいなものが少なくなる。だから普通に放送されてたとき、あんまり学習させられてるって思わなかったんだろうなあ。
 一つの要素だけじゃポンキッキは成り立たないよな。

 
 さて、次回はビデオの感想も最終回です。
 ここまでお付き合いありがとうございました。
 呆れられてなければ、次回にもお付き合いください。

第五巻「どんななかま」につづく

2007年5月21日

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