あの日々も今は昔〜彫刻の森美術館で見た景色〜

 ずっと行きたい場所があった。
 美術館だ。
 箱根の彫刻の森美術館
 何故そこかって言えば、ポンキッキの撮影に使われていたからに他ならない。


 何年前だったかなー、通販で買ったポンキッキビデオのレビューをやってた頃があるんですわ。2007年4月に書いてるから3年以上前になんのかな。
 その中にある、昔の「ABCのうた」(超かっこいいヤツ)の映像の舞台が彫刻の森美術館なの。
 彫刻の実写に吹き出しつけて「A」とか言わせてみたり、ガチャピンムックがなにやら遊具的なものの中に入り込んでううろしてたり、そういう映像にのせて歌が流れるというものでした。
 本気でかっこいい。
 嫉妬するほど上手い映像ですよ。
 で、そのビデオの解説本には撮影場所の記載があって、公式HP見たら同じような彫刻の写真が紹介されていたものだから、そら私じゃなくても「すげえ行きてえ!」ってなるでしょう。なるよな?ほら、なった。
 だからずっと行ってみたかった。
 でも箱根なので躊躇していた。
 なにしろ、「箱根」が何県なのだかいまいち確信が持てねえ(笑)。
 いや、知ってるけどね。駅伝の片道で行ける距離だし、関東だろうし、でも別に直に新幹線が止まる観光地ってわけでもないし、そうなればどうやって辿り着くのかがよくわからない。調べりゃいいことだが、実際やるとなると勇気がいりますよそりゃ。一人で行くんだから。
 乗り継ぎは不安だ。
 そいでもこの10月、行くことに踏み切ったのは、埼玉に住む知人も行くということになったからだ。
 なんのかんのと結局現地集合ってことで一人で乗り継ぎしなきゃいけなくなってしまったわけだが、こういうなにかしらの条件がつかないと踏み切れなかったのは事実だ。
 なので頑張りましたよー。
 有休とってなー。
 まだまだポンキッキ好きーってことですよー。
 もちろん、乗り継ぎの駅だの時間だのを調べる傍ら、事前にビデオで予習をしておいた。
 どんな彫刻が使われていたか。
 今回の目的は、単純に美術館を訪れてちょっと感動することではなくて、聖地巡礼っぽく使われてた彫刻をできれば同じ角度の同じズームで写真に撮りたいということだからだ。粘着なマニアだが、引かれても構わん。数年来の夢だし、こんな機会滅多にないのだ。
 写真撮影していいかどうかは知らん。
 結果、別に禁止されてたわけでもなさそうだったから、写真は撮った。
 ともかく映像です。
 数えてみたら、9個使われてた。
 あと、ガチャピンムックが遊んでたアスレチック的なものと。
 それを紙に印刷し携行し、一個ずつ探し出していこうという腹積もりだ。ちょっとしたオリエンテーリングだ。
 柄にもなくわくわくしながら箱根を目指す。言うなれば聖地だ。私だってわくわくすることはある。
 事前に名古屋で乗り継げば、ひかりで小田原まで行けるというルートを教えてもらっていたので、考えてたより余裕を持った出発になった。
 10月8日、朝、新幹線に乗るために広島駅。
 とりあえずドトールで期間限定のなんとかサンドを買う。
 東京行きホームで新幹線待ってたら、福岡方面のホームに500系の新幹線が入ってきて面食らう。使わなくなったんじゃなかったのかよ!っていうか、やっぱかっこいいな500系!とかいろんなことを思う。
 乗りたいね、500系。こんだけ言って500系じゃなかったら困るが、まあ、あの素敵な車輌がまだ健在だということは素直に嬉しく、ぼんやりと車体を眺めた。
 で、新幹線に乗り名古屋まで。
 昼飯は名古屋で買おうかなと思っていた。東京駅ほどではないにしても、広島だって改札のあとに弁当買うとこあるし、そういうのに寄ってみればいいかなーとか考えてたら────なんつーか、売ってるとこがびっくりするほどしょぼかった。マジで。狭い。私にはそう見えたが、他にも実はいろいろあったんだろうか。
 どっちにしろ、朝買ったパンが結構もたれていて腹減ってなくて、買う気はあんま起きなかったんだけども。
 しかし名古屋土産とか勇んで行っても、その心意気に見合う店の雰囲気じゃあないんだよなあ。
 名古屋には裏切られた気分になりつつ、キオスクでご当地ジャイアントペロティを購入し電車を乗り継いだ。
 で、小田原。
 なんとなく早足で乗り継ぎの箱根なんとか鉄道の改札を目指す。
 小田急線とかそんなんだったんかもしれんが、知らん。
 そこからの乗り継ぎはかなりスムーズにいけた。心配してたようなこともなく。杞憂は杞憂ということだが、まあ、結果何か起こるわけはないと知っていてもいろいろ余計な下準備をしちゃうのが人情だよな。
 ということで、無事に何事もなく箱根につくわけです。
 美術館は山の上。
 鉄道は必死に山道を登っていた。そこまでして何故鉄道を敷こうと思ったんだ、と首を傾げるくらいの険しい山道だった。
 その間合流予定の知人から連絡が入る。
 「渋滞で遅れる」。
 ああそう。
 知人は放置で、一人、美術館に向かったのでした。


 箱根の森美術館駅に到着。
 そこから少し坂道を登ると美術館入り口が見えてくる。駐車場と、コインロッカー(確かコイン返ってくる方式の)があったので荷物そこに入れて、一人で中に入った。
 道の途中、ガードレール脇からしゅっと生えてるススキを見かける。
 風情だな、と思った。
 最近近所でススキ見かけないから。写真撮っときゃ良かった。
 で、中に入るとまず、「フジサンケイグループ云々」という表示が出ている。
 ああ。
 ・・・・・・・・だからか。
 だから、あれか。某番組でこの美術館のCMを作ってたのは、だからか。同じグループだからこそ、金かけて作ったのかあれを。ついでに言えばポンキッキの撮影もやりやすかったわけだよ。
 近年稀に見るほどの納得を得つつエスカレーター下りて外に出た。
 大きめの広場があり既にそこに何点かの彫刻が乱立している。
←こんなの
 彫刻!美術!普通に楽しいなこりゃ!っていうかもうとっとと土産物とか買いたいですよ!
 テンション急上昇になるのを押さえつつ、後はもう血眼でした。一つとして見逃してはならぬ。あるにしろないにしろ、自分で満足する程度には目的のため動かなければ意味がない。
 まず、最初の広場には何もなかった。
 一個ずつ見て、印刷した画像を広げ、角度を比べてみて回るが、一つとしてない。
 がっかりしたものの、まだ始まったばかりだからと自分を励まし右回りで進むことにする。
 もちろんぽこぽこと見つかるわけもなく、たまに写真とりつつ歩いていると────まず一つ、見つけることが出来た。
これが、このように、
 喋るのですよ!!
 本当に見つけられた。
 本当だったんだ!
 ここが聖地!
 画像と比べつつ写真とりまくり。
 気分をよくして先に進むと、今度はガチャピンムックのあのアスレチック的なアレを発見する。

 映像と比べると前とは違う場所なんじゃないかと思ったのだが、どっちにしたってこの「しゃぼん玉のお城」が使われていたのは紛れもない事実だ。
 大人は入っちゃ駄目だ、というので近くから遠くから写真をとりまくった。
自分で自分を見失い気味だ。
 また今度は、陸橋みたいなとこで、えらい高い位置にもう一つ目的物を発見する。

 「これの全体像こんなだったのかよ!」と半笑いで彫刻を見上げることになる。
 私が欲しいアングルでの撮影は難しかったが、「何も伝わらない写真」を撮らせたらピカ一の私なりに頑張ったので褒めてやってください(左端の)。
 そこから先は、興味深いけれど欲しいものは何もないというものが続いた。
 まあ実際ねえ、彫刻ってそこまで好きってわけでもないからなあ。
 面白いけど、「ふーん」っていう感じで、のたのたと美術館最深部まで歩みを進めた。平日だったおかげか、思ったより人が少なかったのがよかったかなあ。写真の撮り方不審者っぽいし、人が多かったら邪魔になるもんな。
 っていうか、振り返ってみれば、平日なのになんであんな人がいたんだ。
 みんな休みなのか?
 ともかく。
 最深部には売店があった。
 ここにしか売店がないと早とちりしちゃって、いろいろ買ってしまった。でも結果的に、ここにしかカレンダー売ってなかったから買ってよかったんだよ。
 ダリのカレンダー。
 ふふふ。ダリです。ダリ。かっこいい。
 ルネ・マグリットもあったら買ったのに、それはなかった。残念だ。
 その後知人が到着したものの、ぼちぼち合流と言うことでしばらく一人でうろうろした。ピカソ館とか入ったり。ピカソそんな好きじゃないけど、あるんだからついでに入ろうかっていうノリです。
 知人とはネットの森で合流したが、その際に3つ目の目的物を発見する。

 これは確認せずとも捜し求めていたものだとよくわかる。
 しかし合流したものの、いろいろあってまた別行動になった。私はそのまままだ見ていないはずの彫刻を探して歩みを進め、結局、最後に、最初に入った正面広場の、その上空に鎮座していた彫刻が実は探していたものだったということを────正面からとは違う角度から見上げて知ることになった。
これだ。
こうなって。
こうだ。
 素晴らしい!
 まず最初に見つけるべきはこれだったのかよ!
 見落とさなくて良かったなー。
 もうね。
 こんときの、この私の喜び具合を想像できてもらえるでしょうか。
 考えてもみてください。
 映像には9点の彫刻。しかし実際に発見できたのは3つ。たった今上空にみつけたものをあわせても4つ────全てが全てはないかもしれない、とは思っていたけれど、まさか収穫が半分以下になるとは予想だにしてなかったんですよね。
 彫刻って撤去したりもするのか、と知った。入れ替えとかあるんだろうか。
 この時点で、入館時からのテンションを考えるとかなり鬱な感じにはなってたんだけど(昼から食ってなくて腹も減るしな)、一つでも発見を多くできることによってちょっと上向き気分になったのは確かだ。
 その後は何一つ発見できなかったけれど、もう仕方ないしょうがない。
 途中にある鯉が泳いでる池に行って、どこぞの外国の老夫婦に写真撮ってくれと英語で言われ、撮った写真に「ん〜んん」とか不満もたれたけれどそんなんももう知らん。まああの爺さんは最終的に「ナイス」とか言ってくれるいい人だったので気にしない事にしたい。
 そこから再び知人に合流、のろのろと道を引き返し、ブルーナの特別展やってたからそこで付き合いで何点か買う。
 ブルーナには何の興味もない。口が縫われてるウサギにしか見えん。もっと言えば、ABE a GO GOのOddworldの住人かよ!みたいなことすら思っちゃいますが、浮かれてる知人に水も差せぬので無言で土産の商品なぞ選んでみた。
 でエスカレーターを上がると、モノホンの土産物売場になるんですよ!
 広い。
 さすがに広い。すごい。素敵。美術館のではなく、箱根の土産物が半分を占めてる。嬉しい。
 嬉しかったのでいろいろ買った。なんか最近箱根がエヴァを一押ししてるらしくって、エヴァンゲリオン関係の変な土産物もあったりしたので、お付き合いに一個買ったりもした。
 土産物屋が充実しているというのはとてもいい。
 温泉饅頭も買っとくんだった。


 彫刻の森美術館の出来事はこんなものです。
 偏った見方にしかなってないので追記をすれば、この美術館って、こじゃれたでかい公園って感じでした。
 他にも写真撮っとこうと思える彫刻もあったし。

 こんな感じか。
 首のみの彫刻多いな。
 「こんなの好きでしょ」と聞かれ「嫌いじゃない」と答えたら笑われた。何故だ。
 彫刻には触れたら不味いので柵っぽいものとか、柵内に入れば職員がつっこみを入れにきたりするようなんだけど、基本結構自由なんじゃなかろうか。ピカソ館以外写真撮っていいし、子供用の遊具あるし、その遊具に大人がぶら下がっていいものとかあったし。
 緑豊かで、広くて、売店あって、なかなか楽しい。足湯はやってないのでよく知らんけど。
 美術館を出た後は、箱根で1泊し、知人の車で埼玉へ行った。
 途中、名前だけは耳にした事のある、海老名SAへ寄ってもらってそこでも土産物を買って家へ配達してもらった。
 土産を買うのが好きなんだよ。旅ってのもあるんだろうが、その後の消費を考えるより買う方が楽しい。だってねえ、あんだけでかい売場で、その近辺全部の土産物を売りに出されたら買わずにはおれんでしょうよ。
 伊達巻買っちゃいましたよ。正月でないのに伊達巻って、なんという贅沢!
 2本買えばよかった。
 あとかまぼことか、肉まんとか、楽しかった。買い物。
 普段は絶対買わないモノとかクソ高い食べ物とか何気に買ってしまったりもするので、たまには遠くに出かけるのもいなと思いますな。


 ただ、なんのかんの言って、食ってみて一番インパクトがあったのは、美術館で買ったエヴァ関連のお菓子だ。
 「すべてはゼーレのシナリオ通りのチョコサンドクッキーに」だ。
 普通に美味いですよこれ。びっくりする。
 さすがゼーレだ。と思った。
 ゼーレの言うことは聞いた方がいい。

おわり

2010年12月5日
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