ポンキッキ学習ビデオに関する傾向と対策
第三巻「なんのしるし」
なんだかんだで3巻目になりました。
内容が濃いのか薄いのかよくわからんですかね?みなさんがそう考えるならきっとそれは私の能力不足なんだろう。
ごめん。
まあ私自身は濃いのか薄いのかわっかんねえなってのが基本的思考なんで、それがにじみ出てんのかもしれんなあ。
・・・・・・・・何故って?
あーそりゃあれだ。前説でも言いましたが。そしてこんなこと何度も言うのも大人気ないが。
────望むスポットが少なかったからだよ!
っていうか、ポンキッキって番組を収録したわけではないので、物足らんというのは仕方ないと以前触れましたね。そういうことです。仕方ないと言いつつやはり触れてしまうのは人間ができてない証拠でしょうか。
でも今回ちょっとばかし個人的に注目の映像入ってるんで、満足していただけると思いますよ。
で、三巻のサブタイトルが「なんのしるし」です。
「なんのしるし」。
なんのしるしって言われてもねえ・・・・・・と思ったりもする。なんかさ、しるしって言葉が出ると図形とか記号とかそういうものを想像しないか?「□」「○」「+」とか、そういう、言葉とはちょっと違うもの。要するに、このピデオは算数の勉強を主としてんだろうなってのが第一印象だった。
でも蓋を開ければ、最初から「あ」が絵的に完成してく映像だったりして────言葉の方の勉強なのだな、と悟るわけです。
?
じゃあ、「しるし」ってどこにかかるのか。
そういうコーナーが含まれているのか。
もしかして国語と算数の混合商品なのか。
私のそんなどうでもいい疑問を念頭に置きつつ、先へお進みください。
1.ひらがなの読み「あ」
4分割された「あ」が一つずつ枠内にはめこまれ、最終的に「あ」を完成させる映像。
単純化されすぎたジグソーパズルを想像してもらえればいいと思うが、徐々に完成されていく文字が何であるかを推測することも、この映像における醍醐味ってやつではなかろうか。
「これ、あになるよ!あ!」みたいな。
その後「あ」が完成して、「あ!────あり」と蟻の画像が出てきて終わり。
「あ」の形を学習しつつ、「あ」のつくモノを一つ学ぶ。
そういう主旨なのかもしれません。
2.濁点
濁音の存在を知るコーナー。
なんかね、ガチャピンムックが動物園にきたわけなのだが、
どうも、檻の中に動物はいない模様。
檻の前に表示されている名前は、「ガラス」「フタ」「ザル」。
・・・・・・・・・彼らがどのように何をするのか、この単語の羅列だけで丸分かりというのがなんか嫌ですね。ビデオの作りではなく、展開が丸々分かってしまうほど大人になった私が嫌だ。
ま、小学生なら、既に丸分かりのレベルなんだし仕方ないけど。
動物がいないよ、と見回す2匹。とりあえず一番右の檻に行ってみる。
「ザル」。
確かに中にはザルが一つ、置いてある。上の画像でもなんとなく見えると思うが、それだ。
ザルなんてあったって仕方ないじゃん!、というガチャピンの横でムックが気付く。「サ」についてる「゛」の存在に。
この点々はなんだろうかと触ってみたら、するりと取れた。そして檻の中に現れるのは当然、猿だ。そう。
「ザル」から「゛」をのけると「サル」になるんだよ!
じゃあ隣の檻には何があるのか?
「フタ」。
フタはどうするんだ?点々はないし。いや待て。点々はないが────つけることはできるじゃないか!ということで。
先程ザルから奪い取った点をフタにつけてみるムック。
この、最初に点取っておいて次のときにはそれで点をつけてみる、という流れはありきたりで簡単なようだがなかなか考えてると思うですよ。
無事檻の中に豚が登場し、ラストの「ガラス」は今までの応用で難無くクリア。カラスの登場を成功させご満悦な2人でした。
こういう、目に見える形で濁点を学ぶのはわかりやすくていいですよね。というか、きっとポンキッキ教材セットには平仮名のブロックの他に濁点のブロックなんかもあって、それをつけたり離したりしながら学習していくんだろうな。
まあ私が本当に気になるのは別のとこなんですけど。
カラスを檻に入れてるのってどうなんだろう。
動物園として正しいのか?
どっちでもいいけどさ。
大体にして「点を取ったら身の回りにある物体の名称になる」っていう動物を探してくるのも難儀なんだよな。
こういう教材作る人って大変だよなあ。
3.ひらがなで単語をつくる
最終的に「あひる」って平仮名を並べ、アヒルの画像が出てくるだけのスポット。
でも重要なのはきっと、「あひる」と平仮名を並べることではなくて・・・・・・その平仮名を、背景に登場する五十音表から抜き出してくるというビジュアルではなかろうか。
「あ」と「ひ」と「る」を急に持ってくることはたやすい。
そうでなくて、五十音表から各文字が抜けてでかく表示される、その文字が五十音表のどこに対応しているのか、それを目で見て確認できるというところが肝なんじゃねえかと。
そしてそんな冷たい記号みたいな文字から、アヒルっていうあったかい動物の意味を創造できるという楽しさ。
なんかこう、いろいろまわりくどく考えると、こんな短いスポットでも勝手に奥が深く見えていいよね。
4.ABCのうた
はい。
今回最大の目玉です。
他にも見所はあるにはあるが、頭一つ抜きん出てこれが一番だと思う。
ずっと前から、というか最初からかな、私はポンキッキ内における英語教育の姿勢を否定していた。
でも実際それは番組終盤における英語のスポット等をさしたものであることもまた、知ってる人は知ってる通りです。
では何故その頃の英語系スポット等を毛嫌いするかというと、ただ一言に尽きるのだが────センスがないからだ。
センスがないなどとその辺の雑魚みたいな私に言われる筋合いはないと思うが、しかしそうなのだから仕方あるまい。番組末期の英語系のものにセンスを感じろという方が間違っている。
あんなのはただのつぎはぎだ。英語だったらなんでもいいっていう、そんな姿勢が垣間見えるほどの最低な映像だった。
単に私が嫌いなだけでそれはそれなりの効果はあるのだろうが、なんにしても、末期に採用されたラップ調のABCのうた一つとっても過去の遺産には到底勝てないと思う。
現在こうやって紹介してるビデオセットの中に、そんな末期の英語画像は入っていない。喜ばしいことだ。
単にビデオの製作が1989年らしく、ポンキッキがまだ末期に入ってない頃なんで映像自体がなかったんだなって話なんだが、これが歌ビデオの作成された年代と同じだったらきっと今回の「ABC」ではなく新しい「ABC」が収録されていたのかなあと想像したりして────良かった、昔のビデオで。
ということで、センスいいなら英語も許容する私です。
これは一応歌なので、以前の集中講義のときにもとりあげてました。
子供たちの「A!」「B!」「C!」「D!」って声の間に「E〜」っと機械で調整されたっぽい声が入る。
そういう子供と正体不明の声(SOSペンペンコンピューターなものなのか、と唐突に思ったが意味が分からんのでまあいいや)で歌は作られる。テクノっぽい音楽もいい。曲聞いてるだけでうきうきするするが────やっぱ、これは映像がついてこそだよな。
以前にはどっかの公園と適当に書いたが、撮影場所は「彫刻の森美術館」ってとこにあるオブジェが使われてます。
多分キッズスペースってとこにある、しゃぼん玉のお城と、その他の展示彫刻を使った、なにやら規模のでかいような小さいようなそんな映像。
ジャングルジムじゃあないが、城の中はチューブ状にになってんのかごそごそと這いまわれる。
そんな通路内に示されるアルファベットの文字。文字が出てくるのに合わせて歌われる子供たちの声。
そして。
機械音声の時には、彫刻が喋ってる的な画像。
・・・・・・かっこいいんだよ!
素晴らしいよ!
っていうかこの美術館に行きてえよ!
公式HP内で紹介されてる作品の中に、ちゃんとこのABCの歌ん中で使われてる彫刻も紹介されてます。興奮します。かなり嬉しくなる。むしろここに今すぐ行きたい。行っていいっすか?そして売店でいろいろ買いたい。
・・・・・・ま、箱根なので、無理ですが。
なんかさー、普通のABCの歌をこのようにアレンジし、そしてこのような映像を作っちゃうという────この創作力はなんなんでしょう。
見習いたいというかむしろ、私はこの人たちになりたい。
このくらいインパクトあるもの見せられたら、いやでもアルファベット覚えるわ。
ああそうだ。
最後の方通して歌うとこで、ガチャピンが「G」のバネルを、ムックが「M」「N」のパネルわ持ってるとこはなんか微笑ましかった。
5.「る」と「ろ」
下から二つの文字が並んで上がってくる。
途中までは同じ形なのに、下の方はちょっと違う。
平仮名で間違えやすい文字の代表、その紹介みたいなものですね。
6.い段
母音とか子音とかそういう話。
「ひ────」って言ってたら最後は「い」って言ってるようなものだ。
だから、「ひ」は「い」の仲間。
絵と音声で否応なく伝えられる日本語の理屈ですね。
しかし幽霊っぽいものの影が、「ひっ、ひっ、ひっ、ひぃ────」と笑ってる画像を選択する、その姿勢がなんか好き。
口でかく描けるから、口の動きもわかりやすいと、そんなことなのか?
7.プゥちゃん「く」と「へ」はにている
ニャンさんがクジラ、プゥちゃんはヘビの絵を描いている。
でもお互いにお互いが何の絵を描いたのかがわからない。クジラを見て「ナマズかと思った」というプゥちゃん。ヘビを見て「ミミズかと思った」と評するニャンさん。っていうか、あの絵を見てクジラではなくナマズという単語が出せるプゥちゃんが凄いと思うのだがそれはともかく。
このままではそれらが何を表してんのかわかんないので、平仮名ブロックを一つずつ持ってきて並べてみることにする。
ま、「く」と「へ」は似てるから、プゥちゃん間違えちゃいましたって話で。
ニャンさんの指摘によってそれが発覚、似てるねーと言い合ってブロックを交換した後、おもしろいからとそれぞれのブロックを「く」に見立てたり「へ」に見立てたりとやりたい放題。
後ろに描かれたくじらとへびはわけわかんなくなって、融合して、でかいか化け物っぽくなって火を吹いた────というオチになりました。そういうことです。
プゥちゃんシリーズってちゃんとオチがあっていいよね。
えくぼ王子にこーいう方向性のオチはなかった気がするが、それは単に忘れてるだけなのかな。
8.書き順「す」
普通に「す」を書いていく映像。
「す」って書こうとするとなかなか難しいもんなあ。
9.象形文字「山」
山の絵が徐々に「山」という漢字になっていく過程を見せる映像。
幼稚園の子供にもう漢字なのかーと思えばいいのか、山くらい簡単な漢字だし象形文字って存在があることを知れば今後の国語学習にすごく役立つよね!と前向きに捉えればいいのか、どっちだろう。
ま、簡単に学べるなら学んだ方がいいよね、という姿勢でいればいいのだろうか。
なんにせよ簡単な文字だしな。
私、日本語の学習をするということなら、結構寛容になるんですよ。趣味嗜好のせいですが。
10.ふしぎな矢印
蜂に追われるガチャピンが、その辺に落ちてた矢印を拾いそいつを追い払うものの、今度はムックにその矛先が向けられる。
矢印で方向を示せば追い払うことができると悟った二人、お互いになすりあうものの、最終的にはムックが拾い上げた上向きの矢印により蜂は上へと去ってしまい平和が訪れた────という話。
不思議ですね。
そして矢印の効能を知るに最適の映像です。
世の中にはいろいろと記号があるが、それらを覚えていくこともまた、社会で暮らしていくために重要なことだ。
うん。
ま、ムックの機転のおかげで2人は助かったわけですよ。
やっぱムックはすごいよな。
11.クロスワード
と
ら く だ
ま
とら・くま・らくだと読み上げ、声に合わせて虎・熊・駱駝が歩いていく。
ただそれだけなんだが、その際歩いてく動物の絵柄がいい味を出していて素敵。可愛いとシュールとの狭間にあって、なかなかおつです。
熊だけがなぜかサングラスっていうのも気になる。
12.「ん」で終わる言葉
最後に「ん」のつく動物を挙げるというもの。
まず線で大雑把な動物の形を作り、それを実写に変えて「きりん」とか言う。
きりん・らいおん・かめれおんで紹介されるのだが、やっぱ、「ん」も大事だけど、その線画の状態でそれが何かを当てる、そのクイズ形式な感じがまたいいんだろうよね。
ラストにカメレオンがくるのは良かったなあ。
そして、3文字・4文字・5文字という並びにしているおかげで、リズム感がある。
スポット一つ一つ、考えてんだよなあ。当然だけど。
13.「あいうえおほしさま」
で、ラストは歌。
五十音の学習として最適、且つ、その物悲しさは5本の指に入り妙に感性を刺激させられるそんな歌だ。
まあ・・・・・・歌詞もさることながら、歌内に現れる
こいつが謎なんだけどね。
私としてはやはり、「夕暮れ時、草むらに隠れているヤツらがもうすぐ夜がくるよと喜んでいる」という、そういう歌だとしか思えん。
ヤツらとは、この青白い四角いものだ。
星から、月から、突然やってくるこいつ。空を飛び、野山を回り、夜の来訪を告げる一番星────。
ああもう、妄想を刺激してくれるよなあ。
こーいう曲をさらりと放送してくれるポンキッキが大好きです。
そんなこんなな3巻でした。
全体的に、やっぱ、前よりも少し内容が高度になったってとこでしょうか。
言葉に触れて、日本語の難しさを知り、そして今回で応用に踏み切る────そういう構成なんだろうな、きっと。
んで、書きながら考えてたんですが。
「しるし」の話ですよ。
単純に考えて、このビデオ内で一番「しるし」としての存在を顕著にしてるのは、「やじるし」の話だよな?「矢印」を使って「矢印」の効能を見せる。これはなんのしるし?────右を示す矢印!みたいなことになってんじゃん?
しかしだ。
濁音における「゛」なんかも、しるしと言えばそうといえる。
なんのしるしか?────濁音にするためのしるし!とか。
平仮名は、単語を作るためのしるしだ。
ABCも然り。むしろ、平仮名なんかより余程アルファベットの方がしるし然、記号然としてる。
こんなことを言い始めると身も蓋もないわけだが、どんな文字にしろそれは知らない者からすれぱ記号に過ぎず、じゃあそれらは一体なんのしるしなのかという疑問を解明するのがこのビデオの内容ということになりはしまいか。
と。
そんな結論を考えた。
だから、「なんのしるし」ってどこにかかるのかって、全部にかかってんですよ。
なんだ、全部なのか。
タイトル考えると、偉いよな。つーか、ポンキッキ作ってた人が偉い。
次回からは算数的なものが主題になると思われます。
国語も難しいが算数も難しい。
つーことで、また次回までちょっと待っててくださいです。
2007年4月8日