ポンキッキ・スポットについての総論


 ポンキッキ内で作られ続けた「スポット」と呼ばれるもの。
 その存在、定義については、随分前のアンケート結果内でちょっと触れてるのでそちらを参考にしてください。
 ・・・・・・まあ、あのミニコーナーがスポットと呼ばれるものだと知ったのがこの活動を始めてから、という私ですから、んな偉そうな口きけた義理でもないのだがな。
 ともかくも。
 今回は定義云々の話でなくてですね、「スポット」の何が我々の心を打つのだろうか、とか、そういう話を展開したいと思っているのです。
 考えた結果、こんな切り口だ。
 で、その問題のスポットたちだが、かなりたくさん存在してる。
 歌もたくさんあるが、それと同じくらいたくさんあるだろう。ベースが同じで内容違いとかも数えていくと、ちょっと洒落にならない数字になるのじゃないかと思うのだ。
 えーと、例えばさ、猫が魚の絵に向かって何回も飛んで数を数えてくってあれ、3回のときもあれば8回のときだってあったじゃん。仮に1〜8まで全て作っているのだとしたら、それだけで8本あるってことにならないか?
 こーいうバージョン違いは他にもある。影絵とかグループ分けなんかは、背景や曲は同じで数える対象が違うという差異で作ってあることが多い。クレイアニメもスポットとするなら、あれにもいくつものバージョンが存在してた。
 このように数多くの作品があるわけです。いっぱいだ。想像するだけでにやにやするね。
 ただ、ちょっとここで問題提起をしてみたい。

 果たして、スポット見て、みなさんは楽しいだろうか。

 そのものの定義は前述の通りです。
 番組における役割は、当然学習としての1コーナーだろう。そして、コーナー間の繋ぎっていう側面もあったと思う。
 歌のときにも話してたけど、子供が一つのことに集中できる時間は短い。故に曲の長さは長くても4分切る程度。短ければいいってもんでもないが、長すぎるのもいかんのです。間奏も短いはず。
 ただそんな工夫をしたとして、やはり歌ばかり、ガチャピンムックばかりが続くと番組に飽きが来る。故に時間が短く繋ぎになりやすく視線を集めやすいスポットは、番組構成の面においても重宝される位置にある。
 しかし、その内容といえば、やはり数字に平仮名、グループ分けに簡単な単語、そんなものを紹介するのがほとんどで、基本的に何か楽しいこと愉快なことをしてるってわけじゃない。ただ数字数えてるだけ。平仮名読んでるだけ。基本的には「幼児教育番組」であって「バラエティー」ではなく、ぶっちゃけその本質のみを取り出せばつまんないことやってんだよな。そういや昔、子供心に「幼稚なことやってやがるな」と思ったもんだ。私、そう思ってたから、ポンキッキを見るべき時代にポンキッキ見てなかったんだもん。
 ってことは、大人が見れば更に当然のこと、わかりきってることをわかりきったようにやってんだから、面白味ってもんは半減する。子供向けのもんなんだから、それは当然のことなんだが。
 故にこういう質問は卑怯ではあるかもしれない。しかしもう一度問おう。
 スポットって、面白いって思う?
 想像してください。
 「10、9、8……」って読んでるだけの15秒間。
 平仮名を並べるあの時間。
 大体、猫好きでもなければ、ただ猫が飛んでるだけの映像見てても飽きるだけだぞ。
 子供向けなのだから内容はその程度ってことはわかりきってる。見ててどうでもいいとしか思えないこともあるだろう。
 さあどうですか。
 と、聞いてみて。いろいろ考えて。どんな不利な条件がそこにあったとして。
 でも。
 しかし。
 何故なのか。
 私にとって。
 ・・・・・・・・・これが、面白ぇんだよなあ!
 あーまーそういうこと。面白いんだよ。あんなにいいものはない。
 いろいろ否定的なこと書いちゃいましたが、私にとって、スポットは至高の芸術だ。だから皆さんにとっても面白いものなんじゃないかと勝手に考えてる。
 見てて飽きない。っていうのは、────幾分誇張になってるとこもあるのは認める。確かに中には冗長で「なにこれ」って思わざるを得ないものもある。そんでも大半は、ただ数字数えてるのが、動物がのしのし歩いてきてその名前を言うだけってものが、平仮名組み合わせて単語作ってるだけっていうそれが、何の苦痛にもならないし本当に飽きないのだ。
 何故飽きないのか。
 相手は結末まで全て分かりきってる物語のようなものなのに。 
 いくらいい曲、いい歌、いい映画であっても、最初から最後まで全て知っている、知らないまでも結末が容易に想像のつく、そーいうものを延々見続けるのは苦痛だ。
 でもスポットにそれはない。
 ということは、その飽きさせないという理由が、我々の心を打つ何らかの要因であるとは考えられないか。
 で。
 結局なんだかんだで仮説になるが、思いつく要因をいろいろ下に挙げてみます。


@所要時間の短さ
 当初から言及してますが、スポットというのはすごく短い
 子供が集中する云々を抜きにして、ただ時間の長さだけを考えてもらいたい。
 仮にどんなにわかりきったことをされたとしても、それがたった15秒乃至は30秒、その程度のものなら飽きる前にコーナー自体が既に終わってしまってる。
 わかりきっててもすぐに終わるなら、少なくともそれは見ていて不快なものにはなりはしない。
 ここんとこは要因として、かなり大きいと思う。


A絵柄の奇抜さ
 絵が、おかしい。
 ────いや、そりゃ誤解を招く。
 でもこう言うしかないんだ。
 どうも、絵が、特殊だ。
 物・動物を起用する際は実写取り込みなときもあるから一概には言えないが、放送されるその大多数の絵柄がなんか変なんだ。
 そりゃ可愛いものだってある。プゥちゃんは可愛い。白いぶよぶよしたのが飛んでるスポットの、あの白いヤツだって可愛い。けど、大半はなんだかよくわからないデザインだったり、いやにシュールだったり、可もなく不可もなくフツーかと思えば、妙に濃かったりある種気持ち悪かったりと、どうも自信を持って「これは可愛いな!」って思えるものがないんだよな。
 あれは狙ってやってたんだろうか。
 幼児番組ってそういうもの?
 その時々の流行の可愛い絵柄ってのはあるだろうし、そーいうのにすれば簡単な話なのに、率先してそうしようっていう姿勢が見られない。ならば、見てて「なんだこれ?」って思える絵柄をわざわざ選んでいたのか?
 どの世代の好みにも当てはまらないなら、逆にそれはどの世代にも好まれるんじゃあないかっていう、思い切った大胆な選択なのかなあ。また、流行に囚われないなら、いつそれを放送しても受け入れられるってこともできる。
 私が昨年ちまちま作ってた、2007年カレンダーの11月の動物の絵とか、絶対可愛くないじゃん。
 幼児、これ見て喜ぶか?
 しかし、この、予想の上を難無く行ってしまう絵柄の選択が、逆に人々の目を引く結果となり、スポットへ意識を集中させるという作用をもたらしているのじゃないか?・・・・・・っていう仮説も立てられる。
 ただ可愛いってのは飽きるものだ。
 変なものほど、こういうときには愛されたりするのかもしれません。

 ────などと。
 ひとまず時間・絵柄について触れてみました。
 でもまあ本当ならね、手っ取り早くこの話を終えてしまいたいならば、今挙げた二つの要素の他いろんな細かいことの積み重ねによってできる、ポンキッキスポットの「質の高さ」が飽きさせない根本の理由である、ってことを述べれば本当は終わりな話題です。
 じゃあ最初っからそれを言えってことにはなるんだが、でもその質の高さって具体的に何さ、ってことを考えたくてぐちぐち語ってみてたんです。
 で。
 まだ触れてない要素があることにはもう、みんな気付いてますね。
 あの短い間に、変な絵や構成の妙で人の視線を釘付けにし、さっくりとわかりやすくいろんなことを学ばせてくれるスポット。
 何気なく見て、簡単に作れるようには感じられても、あんなの普通そうぽこぽこと生み出せるもんじゃない。大人になって、画面見て改めて痛感する。あれらはみな神技だ。
 そんな神技を神技とたらしめたもの。
 そう。
 これが恐らく、考え得る限り最大の「飽きさせない要因」であり「我々の心を打った原因」だ。
B効果的な音楽の採用
 ・・・・・・この要素が決定打になってるんじゃないのか?
 昨年のアンケートにおいて、音楽(特にビートルズ系)について触れてる人が何人かおられました。
 私は音楽に詳しくないし、音感ないし、もともとスポットをただ漠然と全体的に眺めていただけで、正直「音」についてはあまり深く考えたことがなかった。
 しか今回、音にのみ視線を向けると、「うわっ、なんかすげっ」てどきどきさせられたんだよ。
 もともとポンキッキはテレビ番組なんだから、画面と音とで構成されてる。で、スポット作るとき、そのどちらが子供の気を引きやすいかって考えれば、当然音でしょう。
 画面がすげえ楽しくても見なければ気付けないが、でかい音出せば単純に皆振り向くだろう。
 その音がただの音でなく音楽で、綺麗な曲・ノリのいいもの・なんか変な音等々であれば、集中力は更に高まるし見てるのが単純に楽しくなれる。
 音楽は大事で、それは番組には欠かせない。だからスポットにも当然欠かせない要素の一つ。
 音楽が使われていなくても、声でリズムを作ってる事だってあった。
 あのリズム感は素晴らしいし、ここぞという時に入る音には興奮させられる。使われる音は多岐に渡り、洋楽邦楽どこぞの民族音楽に単なる奇声、そらみんな注目せざるを得なくなるわな。
 好みの曲であればあるほど、映像の方も好きになれる。
 そして軽快なリズムとともに、学習項目がするりと頭の中に入るわけだ。ただ暗記するより、歌で覚える方が早かったりするじゃん。ああいう利点もあるんじゃないか?
 歌の方でもそれは言えてた。同じ言葉を連呼してるだけなのにそれでも飽きないのは、曲の作りがいいからだろうってのと同じ原理だ。トンガリ体操なんてその最たるものです。
 そんなこんなで音楽が作用することにより、より強烈に頭にも心にも記憶にも、スポットの何かがきちんと残る。
 音聞くと、なんとなくだとしても、それを思い出せたりもする。
 スポットにとって(番組全体にとってってことにもなりますが)、音・音楽・声という「耳から入る刺激」は重要だ。単なる奇声が人の心を捉えることだってある。
 だから、重要故に、本題の飽きさせない要因の一番大きなとこを占めてるんじゃないかと結論します。


 もっとこう、例を具体的に挙げるべきなんだろうとは思うんですが、音をどう紹介すりゃいいのかわかんないのでこんなことになってしまいました。本当なら、「ビートルズのこの曲が」「このスポットの浪曲的なアレが」「この奇声が」とかって言わなきゃなんないよなあ。
 まあでも今回は総論ってことで、スポット全体をどう捉えてるかってイメージを知っていただけるといいんじゃないかと思います。
 素晴らしいスポット、それを構成する要素、そこから考えられる飽きさせない要因の推測。
 最大の要因は「音」だった、ということで今回は締めることにします。
 歌にしろスポットにしろ、ポンキッキってのは音楽がすごい。言葉も突出してるけど、「あしかはたしかしかだが・・・」って早口言葉っぽいものにしたところで、やはりあのリズム感あってこそのスポットだろ?って思うもの。
 
 やっぱもう少し音楽を調べまわんなきゃなんねえかなあ。
 どうするべきか。

 

2008年1月3日

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