ポンキッキ学習ビデオに関する傾向と対策

第二巻「いろいろなことば」


 日本語は難しいです。
 何十年も日本でしか生きてない私にはそれ以外の言語の方が当然難しいわけですが、なんにしたって日本語は難しいと思うわけです。
 でも私日本語好きですよ。漢字とか。まあ、なんだかんだで日本人だからな。


 ・・・・・などという感傷はどうだっていいわけで、今回も国語の勉強にいきたいと思います。
 表題は「いろいろなことば」。
 ベタなタイトルだよな。
 前回のタイトルならある意味内容を推測することもできたものだが、今回のこれは全く内容の推測が不可能です。どんなもの持ってきてもそれなりの内容になりそうではある。
 どうする気なのか?あれだけ多くのスポットの中から、どの傾向のものを持ってくる気なのか。
 一通り見ました。
 全体的な感触で言うとねー・・・・・・前回が「日本語に触れる」ことを目的としてるなら、今回は「日本語で遊ぶ」ってことになんのかなって思います。なんかそれっぽいタイトルの番組があった気もするが、それはそれだ。
 にしたって、ま、遊ぶって言うほど遊んでるわけじゃない。ちょっとだけ未開の地へ踏み込んだって印象ってのが近いか。
 前回は何か大きな山の辺りでうろうろしてるだけだったけど、今回はその山に2、3歩踏み入ってみたってことですね。少し専門的なんだな。平仮名に同音異義語に接続詞。生活してく上で重要なそれらは簡単そうで難しい。
 あー、そーいう学習がしたいんだなーって、もろにわかる仕組みになってた。
 じゃ、個別に内容を語ってみましょうか。


1.同音異義の歌「アメが降ったらいいのにな」
 ガチャピンムックによるミュージカル的同音異義語の解説。
 これ以上の説明はないと思うんだがどうだろう。
 なんかね、2人が歌ってんのよ。踊りつつ。
 例えば最初のフレーズなんだけど、こんな感じ。
 「土の中から芽が出たよ どんな花が咲くのかな
 もしもこんな目がでたら どんな花になるんだろう
 同じメだって大違い」

←・・・・・・こんな目、出ちゃってるよ!
 どんな花になるっていうか、むしろこれが花なんじゃないのか?!
 ────とね。
 そういうよくある同音異義語を映像をふまえて解説するという、そんなものでした。
 この後に、「雨」と「飴」・「蜂」と「八」・「風」と「風邪」というように4番まで続いていく。
 なんとなく想像できませんか?蜂が飛んできて8の字書くの。生態の勉強もできるな、これ。ま、同音異義語とくればそれだよな、ってくらいメジャーな単語たちです。お子様にも身近だし。
 しかしなんですな。タイトルは「アメが降ったらいいのにな」なのに出だしは「メ」なんだな。全般見回してタイトルとして一番見栄えがいいのがアメだからかなあ。
 「どんなメがでるのかな」とかでも別にいいよなあ。
 そんな私ですが、一番好きなのはラストの「カゼ」です。いやなんとなく。
 寒さに震えるガチャピンもいいものだが、いたわりあう彼らの姿を見ると和みますよ。

 そして、ラストもまた激しく踊る2人。
 ・・・・・・・・・ムックの目玉ががくがく上下するので、そういう意味で目が離せません。

2.ことばあそび
 「ぶたが」「ぶたれる」って言って、出てきた豚の顔をぶって頬がぷくーってなるやつ。
 ある種の同音異義語ではある。
 それが名詞か動詞かの違いはあるが。
 このね、「ぶたが、ぶたれる」っていう子供の声(きっと大人の声優さんがしてるとは思うのだが)が、妙に耳に残って仕方ない。
 高めの声で、一文字一文字区切って話し、最後改めて「豚がぶたれる」って通して言うときの少し誇らしげな声────どんな人が言ってたんだろう。

3.あ段のうた
 歌い手はTHE ALFEE。「もじさがしのうた(あ)」のことです。
 赤い花が最初にいて、小さい子が加わって二人で合唱してるってスタイルの映像です。んで歌詞はなるべくあの段文字で作ってみようって雰囲気があると思うんだがどうだろうか。大変だよなあ、考えるの。
 やっぱラストの高音は素敵っすよね。
 これの歌いだしが「あかさたな」だから、花の色も赤いのかな〜?と考えてみたりもするこの頃。そして、高音部分のときの子供の毛の逆立ち具合が素晴らしいなと今日気付いた。

 実は、「あいうえおほしさま」が次巻のトリになってんですよ。
 単純なあいうえおを後回しにして、母音つながりの五十音表横読みの歌を先に持ってくるなんて、ちょっとしたチャレンジャーじゃねえの?と思ってしまいますわ。
 わかってるな、いずみ書房。

4.プゥちゃん ことばたいそう
 五十音には発音しにくい文字がある。
 その中の代表格はさ行ではないだろうか?────と考えて作られたんじゃねえかと思う、プゥちゃんシリーズの1つ。

 プゥちゃんとワンさんとダンちゃんが3人で並んでいる。どうでもいいが、私今日初めてプゥちゃん以外の人の名前を知りました。ワンとダンなのか。まあいいや。
 ワンさんが「お口の体操はじめましょう」とまず「あいうえお」と言わせ口の動き方の確認を終える。
 そして、問題の「さしすせそ」。
 他2人は案の定言えないのだが、2回目の挑戦でそれもクリア。それでコーナーは終わるかと思われめのだが────ワンさん、「しゃ・し・しゅ・しぇ・しょ」を言えとか言い始める。
 「さしすせそ」と発音できない場合そういう言い方になってしまうものではあるが、逆にそれを意識的に言えというのも珍しい。結局はお約束で、そう言えと言われるとなかなか言えるものでもなく失敗を重ねる。わかるわかる。やろうとするとできなくなることってのはある。
 ま、結局それはそれでいっか、などとワンさん途中で投げやりになって先へ進んだ。
 いいなこの投げやり感。
 最終的にワンさんが言わせたいのはこの文章。
 「新幹線 シュルシュルシュルシュル線路にそって走る」
 なかなかいじわるな単語の選択だ。
 もちろんプゥちゃんたちに言えるはずもない。
 「ちんかんちぇん ちゅるちゅるちゅるちゅる ちぇんろにそってはちる」
 言えたのはこんな文章。
 ・・・・・・・・・ああまあ、そうなるかもしれんよなあ(笑)。
 ここからワンさんの壮絶な、発音矯正作業が開始される。「新幹線」「しゅるしゅるしゅるしゅる」「線路に沿って走る」。このくらいに文節を区切って発音すればきちんとできるのに、繋げるとなかなかうまくはいかないものだ。
 ワンさんは頑張る。
 「しんかんせん」
 「ちんかんしぇん」
 「しんかんせん!」
 「しんかんしぇん!」
 「・・・・・・ちんかんちぇん!!」
 「・・・・・・しんかんせん!!」
 えええええ?!
 ────こんなオチ。
 だから、ま、世の中、そんなもんだよな。
 最後の方3人ともわけわかんなくなってたんだろうなあ。
 
 で、いつものように個人的な感慨なんですが。
 これは発音について学習するもの。発音というか、口の動き方というか。正しい発音のお手本として、その発音は間違ってんだよって教えるものとしてみるものだ。
 でも最後、ワンさん、間違えるよね。勢いで。
 大人だって間違えるんだよ、っつーかむしろ、少しぐらい間違ったっていいんだよ・・・・・・なんていうちょっとした和み要素として盛り込まれてるんだったらいいなと考えた。また曲解してますけども。
 実際は多分、ただのオチなんだろうが、あれをプゥちゃんたちが立派にやり遂げて「すごいねー」で終わるってのと、ワンさん間違って「あれー?」で終わるのでは若干印象が違ってこないだろうか。
 誰も彼も完璧じゃあないんだし、ぼちぼちやってこうよ。
 そんな意味合いを勝手に付与させましたよ私。・・・・・駄目か?そうか。

5.クロスワード
 一単語を作り、そこに使われてる文字と別の文字を使ってまた単語を作り・・・・・・とやってるような感じ。
 かさ
さかさ 
さかな
 この3つの言葉を作ってた。
 やったことないんだけど・・・・・・私、クロスワードってより、「もじぴったん」っていうゲームを思い出したんだが。何秒以内に単語を3つ作れとか、そんな感じの。
 この場合、「か」「さ」の入る言葉を作れってお題になるんだろうか。

6.い段のうた
 「もじさがしのうた(い)」の登場です。
 もう今回は、そういうことにするらしいです。
 にしても、声かっこいいなあ。聞きほれるよなあ。やっぱり最後の高音は確かに高音で素晴らしいのだが、輪をかけて普通に低音で歌ってらしゃっるときの声はもう、しびれるわ。
 どうしてやりましょうか。
 どうもしませんよ。
 映像は、海賊がオネショでできたイギリスっぽい地図を発見、それを作成してしまった少年とともに合唱しているという図です。高音のとこ、2人とも毛が逆立ちます。
 んー・・・・・・歌い手ということで考えると、私、い段が一番好きなのかもしれんのう。

7.ことばあそび2
 一つの単語にある一つの音を付け加えると別の意味になる、というやつ。
 カメとラでカメラ。
映像的にこんな感じで。この後、本物のカメラの映像がくるです。
 カメは亀って生き物だけど、ラをつけるとカメラっていう物になっちゃう。両者は全く関係ないけれど、1つ付け加えるとそんなにも変わっちゃうという不思議さを学ぼうということだろうか。
 我々には普通のことだが、幼児には不思議なことなんだろうなあ。

8.早口ことば 「しかもかもしかも」
 「しかもかもしかはしかだが、あしかはたしかしかではない」
 そんな早口言葉。
 でも、私、早口言葉って認識ではないんだけどね。ただ不思議で愉快な素敵映像って思ってるだけです。
 そう。
 すごい好きなスポットの一つ。
 漢字仮名混じりにすると「しかもカモシカは鹿だが、アシカは確か鹿ではない」になるのか。
 これはね、単なる早口言葉です。早口言葉としてだけビデオの中では紹介されており、ビデオ作ったヤツらの上ではそんな重要ではないのかもしれん。
 しかしだな。
 まずこの絵を見てくださいよ。
←アシカ←カモシカ
 私うろ覚えなんで名前出しませんけど、どこぞの有名画家の絵を参考にしたかのような、素晴らしい構図。私こういうのすげえ好きなんだよ!またこの色使いの落ち着いた感じもそそるじゃねえか!
 そして、木々の狭間を通り過ぎていく、デフォルメされたカモシカとアシカ。
 同じシカなのに違うものなのか!という言葉の不思議さはおいといて、この考え抜かれた造形をみてくださいよ!体がちゃんと「かもしか」「あしか」って読めるようになってんじゃん!
 すげえよ!
 そいつらが何度も画面を通り過ぎる。木々の間を、それこそ不思議な法則性を持って。
 しかもその映像にかぶさる音にはBGMの一つもなく、ただ女性の声で「しかもかもしかはしかだが、あしかはたしかしかではない」と言い続けるだけ。その喋りはどんどん早くなっていき、多分早すぎて聞き取れないみたいな演出にすりかわり、そのままフェイドアウトして消えていく。
 ・・・・・・かっこいいよ。
 こういうのがいいよ。
 多分子供がこれ見ても、きっと意味わかんないだろう。むしろ絵的には怖さもある。
 でも、理解されなくてもいいじゃん。なんかすげえって思えるのでいいじゃん。どこがとは言えんが、とにかくこれはすごいんだよって思えそうな、そういうパンチの効いたスポットだと思う。

 こういうセンスが欲しいよなあ。

9.え段のうた
 「もじさがしのうた(え)」の登場。
 なんで「う」を飛ばすんだ?まあ結局「お」もないわけだが。
 いれるなら全部いれないと締まらないんじゃないかなあ・・・・・・と落胆しつつよく考えてみたら、多分「あ」が高見沢さんで「い」が桜井さんで、「う」が坂崎さんなんではなかったろうか。そんな話を聞かせていただいたことがあります。
 1人一曲ずつビデオに収録されてて公平だからいいじゃねえか、ってことか?
 ビデオの時間制限もあるし。
 この歌、最後に高音はありません。残念。
 映像としては、ハンプティダンプティ的なたまごが塀の上でギター弾くマネしてて、はずみで下に落ちてヒビが入ってそのまま・・・・・・ということでいいのか?
 そのままかよ、ヒビ。
 放置状態のたまごから出てくる「えけせてね〜」はなんとなく悲しい。
 歌詞に「目が覚めて千年目」とあるが、彼はまた眠りについたのだろうか。

10.「と」と「か」
 ガチャピンムックによる、接続詞の違いについて。
 2人がいるとこにナレーションが入る。
 「ガチャピンムックが傘に入る」
 当然、喧嘩だ。雨が降っているのに1人しか傘を使えないのだから。でも、
 「ガチャピンムックが傘に入る」
これなら仲良く二人で傘を使える。
 ────「と」と「か」の用法の違いをわかりやすく伝えるための寸劇ですな。
 その後、ジュースを飲む、掃除をする、というように他の事例も出していく。
 わかりやすいと思いますよ、これ。
 でも気になったのは、ジュースを2人で飲むことになったときに出してきたガチャピンのストローであり、一貫して入るナレーションの声が多分ムックの人なんじゃねえかと思うとこです。このストローはないよなあ?

 あと、「ガチャピンとムックが掃除をする」ことになったとき、2人とも不承不承という体でなかなかきびきび動かない。そのときに再び、「ガチャピンとムックが掃除をする」って強く言うのな。
 「早く動けくそったれ!」みたいな感じで。
 あの力強い声は、惚れるわ。

11.十二支のうた
 締めはこの歌。
 2巻って通して見ると歌が多いってことになりますね。
 歌い手はくらっぷ。「子丑寅卯辰巳馬未申鳥犬亥」を紹介するあの歌。
 全員をうまく旅立たせる歌詞はうまいなあと思ってます。
 でも今日見てて気になったのは、「ね・うし・とら・・・・・・」と歌いつつそれぞれの動物を曲に合わせて映してくってのが中盤に入るんだけど、よく見たらラストに行くほど歌詞と映像がずれてた。
 ま、「亥」のとこで十二支全部の絵を持ってこなきゃいけないって計算だったのだと思うんだが、そのズレが少し嫌でした。
 そんだけ。
 

 2巻の内容はこんな感じです。
 前回と比べると、国語の各論って雰囲気強いでしょ?
 同音異義語に始まって、五十音横の段の歌・口の開き方と言いにくい文字の発音練習・不思議な早口言葉、そして接続詞の効用。
 並べてみるとかなり欲張りな収録内容になってんな。確かにタイトル通り「いろいろなことば」に触れている。文字を繋げると違うモノになっちゃうとかね。
 しかし・・・・・・振り返ってみると、「1字違うと随分違うんだよ」ってことが話の中心だったのか?って思いが強いんだが、そんなスポットばっかだったっけ?カメラとかカサのとか・・・・・・ああ、そうか、接続詞が1字違うと意味が全然違うよってのもあったから、そんな印象が強いのか。
 しかしこの「一字違うとも別物」っていうのはひどいよね。
 ひどいっつーか、難しい。
 カメラのやつは楽しさもあるが、接続詞系は楽しくないよな。不思議だなってのと同レベルでの嫌らしさがある気がする。しかしその嫌らしさこそが日本語で、私はそんな日本語が大好きですわ。


 つーことで、このビデオは早口言葉のアレやらもじさがしのうたやらと見所満載でした。
 満載だっただろ?
 しかしどうも1巻のときほど、自分で「そうだったのか!」ってびっくりするような発見がなくて残念なんだけど。仕方ないか。そんなほいほい発見なんてできるわけないわな。大体「いろいろなことば」って普遍すぎるんだよ。発見しづらいと思わないか?タイトルのせいにするな?・・・・・・ごめんね。
 さて。
 じゃ次回は国語編最終回です。
 またしばらく待っててくださいよ。 

第三巻「なんのしるし」につづく

2007年2月25日

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