ポンキッキ学習ビデオに関する傾向と対策

序文



 ちょっと前の話を引き合いにだしますが、まあそれはそれで。

 何か知らんが、日本の教育は死んだだのなんだのと有識者会議で言われているそうですが?
 そんなもん、ポンキッキがなくなった時点で死んどるわい、阿呆。今更何ぬかしとんじゃあ腰抜けども────とかいう極論を展開しがちな私なので、聞くたびに「何を今頃騒いでんのだろう」と冷めた感じでニュース眺めてるわけですね。
 大体ゆとり教育云々って言い始めたからこうなったんだろう。締めるとこは締めんといかんのですよ。
 ────とかなんとか。
 まあいろんな意見がありますので、極端な話はここまでにしといた方がいいですね。
 さて。
 じゃあ私が勝手にピンからキリまで高評価するポンキッキとは、いかな教育を行ってきたのか。そんな讃えるほどに凄い教育水準だったのか?
 凄かったんですよ、と、私は思う。
 そしてその凄さについて語り始めても、きっと私の語彙能力ではまかなえないだろう。第一、再三触れるように番組の終盤しか真面目に視聴していない身分の者が、そうおいそれと番組の全てを補う考察ができるかと考えるとそりゃ否だ。・・・・・・だったらなんでここでこんなことしてるのか、という根本的な話になってきますね。
 ま、私は私なりの意見を持ってます。でも、いろんな方々の意見を聞いてたら、なんで私ここで大きな顔して発言してんだろうと後悔の念にもかられたりするってもんなんですよ。
 私の底は浅いのだ。いやそりゃいばることじゃないが。
 まあそんなこんなで教育論を語れるような身分では有りません。教職課程かじってましたが免許は持ってねえし。
 でも語ったっていいじゃない、という開き直りをもとに何するのかって言ったらまあ────随分前に通販で購入したポンキッキ教育ビデオをもとに、教育番組という点でポンキッキのどの辺りが良かったのかという考察です。
 多分、何回かに分けて。
 個人的な趣味を大爆発させつつ。
 そうやって更新回数を増やそうという姑息な手ですね。ははは。
 私の能力では、見たことある人でないとさっぱりわからん話になるやもしれませんが、まあそれはそれでお付き合いいただけると幸いです。


 とりあえず今回は全体的なビデオの印象について触れます。
 このビデオ、いずみ書房の在庫一掃セールじゃないかって時期に買ったものなんですが、タイトルが「ひらけ!ポンキッキ教育ビデオ たのしくおぼえることばとかず」ということで、本当に何の誇張もなくそういう内容しか入ってなかった。
 ほんとに。いろいろと期待してると多分がっくりする。
 しかも五本組で一本15分という短さ。それについても結構がっくりした。
 大人の私からすると、「なんでこんなケチくさい長さしか入ってねえんだ!」と怒り心頭にもなるってもんです。大体この計75分のビデオにいくらつぎこんでると思ってんだ!もう少し長めにいれてくれたってバチは当たらんだろう!・・・・・・・・と思わない?私は思った。
 歌ビデオのときにはそこまで考えなかったんだけどなあ。
 まああれです。内容を知らなかった分、多大な期待をしちゃってたんでしょう。歌の時には事前に情報が知れてて、随分悩んだ末に買ったんだけど、教育ビデオはジャケ買いしたようなもんだから。
 そんでその期待の中には、「きっとたくさんスポットがあるんだろう」「あの懐かしいアレが見れるに違いない」というものも入ってた。きっと。
 んでその気分は中途半端に裏切られるわけです。
 ほんと満足していいのかどうかわかんない。
 ビデオ5本各15分の構成はどれも大体同じ。
 わかりやすく例えるとどうなるのか・・・・・・・・・通常放送しているポンキッキから、兄さん姉さんと歌の放送枠を大幅に削った感じだろうか。大まかにはスポットと歌とガチャピンムックの寸劇で構成されている。
 そう考えると、普通ポンキッキは30分で宣伝抜けば25分以下のものだから、15分ってことは一日分の番組を教育に関わるコーナーだけにまとめてみたって感じになってたんすかね。25分から兄さん姉さん抜いて歌半分にしたら15分くらいに短縮されるだろう。それに子供に注視させるにはそれくらいにまとめたかったとか?そうか、そういうことなのか。いや、わざわざ短くするなら、スポット増やせよ。場面転換多いから皆見るだろう。
 まあそれはもういい。
 恐らく表題が「たのしくおぼえることばとかず」なので、内容がそれ一辺倒になってたってところも不満の一つだったのかもしれん。もっと不条理なものも見たかった。つーか、白いぶよぶよしたのが跳んだりしゃがんだりしてるのが入ってんのを期待してた。あれは確かに言葉ではなく(奇声あげてるだけだし)、数ってわけでもないんで(順序ってとこで算数的だと思うのだが)駄目だったのか?ったってまあ、もともと「ことばとかず」と謳ってるものに対し、「ことばとかずしかねえじゃん!」と文句言うのも変な話なので、それこそ仕方ないことですね。
 つーことで、ビデオに対する印象は可もなく不可もなくというとこに落ち着きそうだ。
 詳しくはラストにまた言及しますので、落ち着いたとこで、じゃあ、一通りの内容を羅列していこうと思う。
 これが今回のメインであり、次回の布石にもなるわけです。
 読んだってわからんかもしれんが、とりあえず予備知識として読むように。本当に内容の羅列で、特に言いたいことあるときだけコメントいれます。知ってるとか覚えてる人はきっと、映像が喚起されて楽しい感じになるかもしれんですから。はい。多分。




第一巻「こんなときなんていうの」
1.ガチャピン・ムックのジャングル探検
 なぞなぞ。ムックの情報から何について語っているのかをガチャピンが当てる。
 このジャングル、最終巻においても重要な役割を示すので、そういう意味でここは重要だと私は勝手に考えておる。
 なんかね、このビデオシリーズの一貫したテーマがジャングルに?!、などとどうでもいい詮索をしたくなる。そういうセット。

2.しりとり
3.伝承あそび「花いちもんめ」

 擬人化してる野菜たちがやってました。見覚えがあり、ある意味可愛い。
4.プゥちゃん こんなときなんていうの「ありがとう」
 怪獣に助けてもらうプゥちゃんのもとに現れるのは────こっ、こんなときなんていうのおじさん!
 このコーナーだけでこのビデオの価値あるよな。

5.世界のことば「ありがとう」
6.位置指定 卵を産むのはどのにわとり?
7.連語

 「これは僕のりんごをかじったネズミを捕まえた猫」
 独立した出来事が連なっていく感じ?

8.「あめ」のつくもの
 一つの単語の中に別の単語が含まれていることに興味を持たせる。
9.位置指定2
 例えば「上から3段目、左から2番目」という発言への理解
10.ごあいさつのうた
 歌い手 THE ALFEE・池田典代


第二巻「いろいろなことば」
1.同音異義語
 ガチャピンムックによるミュージカル的同音異義語の解説
2.ことばあそび
 「ぶたが」「ぶたれる」って喋るスポット。知らない?
3.あ段のうた
 歌い手 THE ALFEE
4.プゥちゃん ことばたいそう
 発音しにくい言葉の練習
5.クロスワード
6.い段のうた

 歌い手 THE ALFEE
7.ことばあそび2
 一つの単語にある一つの音を付け加えると別の意味になる。
8.早口ことば 「しかもかもしかも」
 早口言葉としての登場なのだが、画像と言葉と語り口が秀逸過ぎて我を忘れる。
 「かもしかはたしかしかだがあしかはたしかしかではない」
 知ってる人も多いんじゃないかと。

9.え段のうた
 歌い手 THE ALFEE
10.「と」と「か」
 接続詞の違いをガチャピンムックによって。
11.十二支のうた
 歌い手 くらっぷ


第三巻「なんのしるし」
1.ひらがなの読み「あ」
2.濁点を知ろう
3.ひらがなで単語を作る
4.ABCのうた

 私がポンキッキ内の英語歌として認める数少ないものの一つ。美術館の壁や遊具にアルファベットを配置して見せていく作りのやつっすね。
5.「る」と「ろ」
 間違えやすい字なのでその違いをじっくりと。
6.い段
 「ひ」は「い」の仲間・・・・・・ってやつ。
7.プゥちゃん 「く」と「へ」は似ている
 5・6・7と一連の似ている平仮名について触れるわけですが、これらを出すなら「こー!こー!・・・・・・あ、こ!」「違うよ、僕はいだよ」のヤツをいれてくれた方が随分良かったと思う。
 あのインパクトはすげえもの。

8.書き順「す」
9.象形文字「山」
10.ふしぎな矢印

 ガチャピンムックの持つ矢印を向けると、ハチがその方向に飛んでいく!とか。
11.クロスワード
12.「ん」で終わることば
13.あいうえおほしさま

 歌い手 うらいみさこ・うらいさちこ

第四巻「かぞえてみよう」
1.おふろのかぞえうた
 歌い手 茅蔵人(ビックリ・エレクトリック・カンパニー)
2.数唱1〜10
3.バラバラのものを数える

 ガチャピンムックが飛んでるスズメたちを一列に並ばせ数えてみる、という話。
4.数える 8回
 猫が8回飛ぶ。
 8回も飛ぶなと思う。多分隠れてよく見えないが、猫じゃらし仕込んでる。コレ見て初めて気付いた。

5.どっちが多い
 3と4はどっちが多いかって話
6.プゥちゃん 3は2と1
 プゥちゃんがあらゆるモノに変身できるナイスガイということを知る。
 同類のものはまとめて数えてよし、という考え方の教授。

7.自然数系列
 ばらばらに並んだ数字を順序よく並べなおす。
8.なくなって「0」
 ガチャピンムックがジャングルの中でゴリラに襲われそうになり、気を逸らすためビスケットをあげ続けていたらビスケットがなくなった、というオチ。
9.逆唱10〜1
 逆に数えることができれば一流。
10.数字の読み
 二桁を読んでみる。
11.うた「1・2・3」
 ポンキッキ内英語の中の数少ない名作。英語で歌う「1・2・3」です。


第五巻「どんななかま」
1.ガチャピン・ムックのみかけの多少
 ジャングル探検の合間、果物の木を2本見つける。双方果物の数は違うように見えるのだけど・・・・・・。
2.みかけの多少 一寸法師
 一寸法師とおわんの数はあってんのか?・・・・・・大きさの違うものの数を比べてみる。
3.プゥちゃん ウサギの仲間
 ウサギに変身するものの、あそこが違うここが違うと指摘され、やっとウサギと同じ形になれて仲間にしてもらえるプゥちゃん。
 そこまでして仲間に入る必要がどこにあるのか、と違うベクトルで気になってくる怪作である。

4.仲間わけ 男女
5.系列化 形

 形の違う3つの図形が順番にゴム飛びをしてる。順番違いには気をつけろ。
6.仲間わけ(多元分類)
 バグナム星人たちを色・形・足の数によってわけてみようという試み。
 問題は遠足にきたこいつらが、仲間わけに時間をとられて楽しむ間もなく夜になって帰って行ったという事実だ。
 悲しいじゃないか!
 ・・・バグナム星人ってなんだろう?

7.系列化 大きさ
8.ジュースの量

 ガチャピンムックがジャングルの中でジュースを飲もうと容器を出すが、それらは形が違って入ってる量が全く違うように見える。どうなってんだまったく!
 なので、メスシリンダーで量を測るガチャピン。
 探検にそんなもん持ってくんな。

9.いっぽんでもニンジン
 歌い手 なぎらけんいち




 ビデオの内容は以上です。
 タイトルは一緒に入ってた小冊子から抜粋してます。
 割合としてみれば、言葉の方に重きが置かれてるように見受けられますね。やっぱり日本人なんだから日本語しっかり覚えねえとな!
 そんなわけでもないか。
 前述した通り、とりたてて凄いものは収録されてない。当たり障りないと言えばいいのか。
 話を戻すってより蒸し返すことになりますが、改めて何故このビデオたちが可もなく不可もなくなのかって、上記の内容見てわかりますよね?えっとだな、やっぱり「教育ビデオだから」なんだろうな。
 それは単に私に限ったこととして括られる話かもしれんが。
 幼児向けの商品捕まえて何を言い出してるんだろうね全く。
 でもやっぱ猫が8回飛ぶのを延々見てるってのもツライもんだろう?大人としては。子供にとってはいいものなのかな。
 なんかさー、期待する凄いものってのは、番組の中で本来正真正銘何の疑いもない「教育」として作られたコーナーのものにはあまり含まれてないってことかもしれない。
 そりゃこれに収録されてる英語歌はすごいと思う。末期のポンキッキなんぞクソですわ。
 ビデオ1本に対して1曲入ってる歌だって、悪いものでは決してない。「あいうえおほしさま」は好きだし、「いっぽんでもにんじん」の数詞の解説・歌詞の選択は神技だし、「あいうえおのうた」のわけわかんなさも好きだ。「ごあいさつのうた」だっていいものだ。文句言うとこではない。
 でも物足らん。時間の短さもあるが、異様に説明できない切なさが胸をかすめる。
 折角高い金出して買ったんだから、記憶に残るあの映像がないなあーって残念に思うのは仕方なかろう。そして考えてるうちにその記憶に残るもろもろが、「教育ビデオ」として発売される中に含まれることはないのだと、改めて思い知らされちゃったりするのだ。
 「ベロベロバア」も「SOSペンペンコンピューター」も「へんだらけ」も「ヒポポタマス」もそれで言葉と数の基礎が勉強ができるのかどうかは微妙だ。妙に凄い「クレイアニメ」も「どきんどきんどきん」って歌にあわせて紙を折って違う絵を見せるあれも、入ってればいいのにと願うものの入ってるわけがない。クレイアニメで言葉と数の勉強はできんしな。
 事ほど左様に欲しいものは見れんなあという有様でした。ああ懐かしい!と思いはしたし、プゥちゃんは入ってたし、いいところはいっぱいあるんだが、どうしても物足りないと考えてしまうのは、再三に渡って言わせていただくが────テーマが「ことばとかず」に限定されてしまっているためなんだろうね。
 私の脳みそにこびりついて離れないあれやこれやは、幼児番組を卒業しているはずの中高生であるという観点から仕方ないことなのかもしれないが、妙な不条理なよくわからないけどぐっとくる、そういう情操教育系の映像だったんだよな、きっと。
 もろに感性に訴えかけ、それを主眼とするスポットたち。
 今回はそれらが入ってなかったと、それだけのことですよ。最初からわかりきっていたこととはいえ、改めて気付くと少し自嘲混じりの溜息も出そうになりますな。
 って。
 ・・・・・・どうも最近締めがうまくいかんなあ。
 けなし気味な意見で幕を閉じるのはいけんですね。このビデオたちをけなしてはならない。何故なら言った通りこれらは「言葉と数」のビデオであるのだから、これらが文句を言われる筋合いはないのだ。
 今までのは私が感じた印象やなんやかやであって、ビデオ自体が本当に悪いものではないのです。
 あからさまに教育ビデオなんだなあと思うくらい?
 ああきっと、コアなファンには受けがよろしくないだろうなあ・・・・・・・・・と余計な心配をしてしまう程度の、そんなものです。大体ポンキッキのコアなファンってどんなだよ。
 私か。


 オチっぽいものがきたところで今回はここまで。
 次回からはちゃんと1本ずつの傾向と対策を書いてこうと思います。────ほんとにもう、自分で言ってて傾向と対策ってなんなんだよ一体。
 だからまあ、ビデオの主題とコーナーとそれに対する感慨と・・・・・・なんかそんなのをごちゃごちゃっと一つ。実際これ買った頃にこういうことしようと思ってたんだけど、なんやかやで流れてしまってたので、ビデオ感想みたいなものに終始しちゃうかもしれません。
 いや、考察だな。考察で始めようとしたんだから努力するわ。
 付き合っていただけるのであれば次回をお楽しみに☆ってことでどうか一つ。



 ことばとかずの基礎はこのビデオ五本でまかなえます。
 詳しい話は後日ということになるけども。
 でも、感性をまかなうのには少し物足らない。残念。
 歌もそうだがスポットだけぎっちぎちに入ったDVDも欲しいですよね。

→1.「こんなときなんていうの」へつづく

2006年12月10日

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