おのぼり野郎の足跡

 あーもーなんか疲れた。

 そんな旅でした。東京は。
 ずっと雨降ってましたしね。新幹線は突如徐行運転を始めるし、行ったものの帰れるのかどうか心配になったものだ。静岡あたりの川が泥水というか、黄河?のようなことになっていて、すごい雨が降ってんのかなあ?と呑気に眺めてた。
 で、東京に着いてみれば、そんなひどくは降ってない。
 なのに「なんとか線全線不通」ってアナウンスはばんばん流れてて、豪雪でも走り続けるJRを見慣れている私としては、「都会、弱っ」とか思ってしまうわけだが、まあそれほどの集中豪雨がどこかであったのでしょう。びっくりしたよ。
 そんな中会場に来た上に私の変な冊子を買っていってくれた方々ありがとうございました。
 あそこで座ってるぶんには、いつもより格段に暑くないわけで楽チンだったんだけど、歩いたり並んだりしてる人は大変だっただろうよねえ。他人事のように言ってますが(正に他人事なわけだが)、大変なんだろなあと思ってました。とにかくありがとうございました。

 さて。
 毎年勝手に恒例にしている桜小路の観光日記なんですが、今年は特にぱっとしたことやってないんで何報告していいやら困ったものだ。いやまあ報告なんかいらないだろうが。
 そうだ。今回は姉を引き連れていったので暇つぶしが楽だったってくらいかなあ。
 今年は二人で行ったんですよ。二人だといいね。時間潰すかのが楽で。私1人だとなんにもすることないので途方にくれてしまうが、二人なら単純に二倍の欲求によって予定組めるのでそこはいいよなあと思ったのですよ。時間潰すのに疲れるくらいなら早く帰れって感じだが、そんなあんた、折角何時間もかけて遠くに行くのにそんな早く帰るのも忍びないじゃないか。
 一日目は行っただけって話だったか。ああ、そういや埼玉に引っ越してった知り合いに無理やり再会させられたか。品川駅で待ち合わせとか言われて、そんで姉とぼんやり待ち呆けていた。品川駅は異様にでかいので田舎者にはびびる。何故改札の向こうの空間があんなにあるんだ。そこに店を作る必要があるのか。とか思いつつパン屋でパン買ったりした。
 
「チョコスター」とかいう星型の黒いのがあって、「うわっチョコチョコ」と興奮して姉に買わせたのだが、見た目よりそ相当もっちり系だったのでがっくりした。ガトーショコラ系を想像していたのに、それはもうなんだか餅だろう、みたいな食感っていうかさー・・・・・・・・・ちぎろうとしてちぎれない、というパンはおかしいだろう。それパンか?ケンカ売ってんのかコラ。
 そんなこんなで、品川にあるなんとかいう居酒屋で飯食いました。普通でした。
 私にとって大概の食べ物は普通か不味いかのどっちかなんで、もしかしたら美味かったのかも知れぬ。
 態度の悪いこんな人間をいつまでも「友達」と思いつづける彼女はかなり奇特な感じ。お互い利用しあってるのでつりあいはあってんのかもな。あとなんか1人でもりあがる気質と全てを盛り下げる気質の二人が並ぶので差し引きゼロで丁度いいとか。まあそんな知人談義はどうでもよろしい。
 二日目は朝もはよから会場に行ってぼんやりしておりました。
 帰りには姉が
「お台場に行く!」と言ってきかんので行った。
 ものすごい人でした。
 アホかと思った。
 フジテレビのグッズコーナーのとことか大変。なんというか、人ばっか。何しに来たんだおまえら帰れ、と呪ってやった。しかも雨降ってるから余計になんだかものすごいことに。
 それでもね、ドラゴンボールブームなおかげでそのグッズがちょこちょこあったから、それはまあそれで良かったんだよな。あまりに不細工な悟空のフィギュア?にがっくりしたが、まあそれなりのものを買いました。うみにんのものとか。鬼太郎系のものは妖怪舎のばっかだったから通販で買うよ、と思った。
 しかしあのフジテレビの客の列をさばく係の人の投げやり感はすごいね。
 「順番関係ありませんからあいてる隙間にどんどんつめていってくださーい」
って、あんたそれはどうよ?そんなことだから事故が起こるんだ事故が。将棋倒しになっちゃったりして死人とかでて大変になるんだ。嘘でもいいから形だけでも整然とさせるよう努力しろよ。
 ────などと理不尽さにかられながら、エスカレーター降りてったらトレビアの泉の「へー」のボタンがいっぱいあったんでとりあえず押した。
 みんな押しまくってるから、どれが誰のへーなんだかさっぱり。
 横断歩道渡ってでかい商業施設(あれはなんて言うんだっけ?)に入って、まあメシどうする?という話になるんだが人が多すぎてもう駄目。私たちにそんな人数の後ろに並んで待つ気力なんて毛ほどもない。
 とっととホテルへ帰った。
 帰ろうとした。
 が。
 とりあえずゆりかもめに乗るじゃん?あたしこれに乗ってさー、「ムカつくから刺した」みたいな人の気持ちが良く分かった。まあその時の私の心身状態が多分に影響してんだがね、刃物持ってなくて良かった。
 雨降ってるからみんな傘持ってるでしょ。もちろん私だって持っていたさ。席に座れなかったから左手で傘を持ち、右手で手すりを持つ状況だったと想像してください。私らの後から女の子の団体(多分4人くらい)が乗ってきたわけだ。持つとこないから吊革を持ったんだろう。それは当然だ。
 真後ろで女が話しているんだが、とりあえずその声が気に食わなかった。笑い声も更に癇に障った。なんつうかえらい自信満々な高い声というか舌が足りてないっていうか、なんかもう腹立つ声なんだよ。でもそれは彼女の責任ではないし、話の内容も聞いてたらムカついたんだが他人の私がだめだしするようなものでもなく、所詮20分前後のことなんだから耐えればいい。重い鞄を肩に必死に耐えてましたよ。
 なんだけどね。
 
その女、傘をどこに持ってたと思う?
 
吊革を持ってる腕にひっかけてんだよ?
 なにそれ。
 それがいかに変な状況か想像してください。濡れた傘を満員とまではいかんが、人の多い車内でそーいう持ち方してるってどうなんだ。いや別に遠くでそれなら構わんが、真後ろでやってんじゃねえよ!!なんで屋根のある、濡れることの皆無な車内で私が服濡らされなきゃならん。嫌がらせか?!
嫌がらせなんだろクソ女。ケンカなら買うぞちきしょう、このスベタ。と思っていた。ものすごい顔で。
 それを口に出せないのが小心者の所以でしょうか。
 体をずらそうにもずらすスペースはなく、そのクソ女はえらい上機嫌でイラつく声を放出している。傘を人に押し付けるように。誇張かもしれんが実際それに近いのだから文句言うな。
 かなり呪ったね。一年分の呪いを使い果たした。刺そうかと真剣に思い、刃物を持ってなかったことが悔やまれた。ものすげえ刺したい。メッタ刺しにしたい。むしろ死ね。こけて死ね。ぶち殺す。非常識な人間に生きる資格なし。エイブのように口縫ってやる。
 20代くらいではないのか?おまえ何学んでここまで生きてきたんだ。周囲にもっと気を配れ。────と思いつつちらりと振り返ったら、どうも高校生なのかもしれんなあと思い直した。どっちにしろ考えて行動して欲しいものだ。
 そして日常刃物を持ち歩かない私に感謝した。ああ鋏で刺しときゃ良かったか?
 それくらい切羽詰った殺意はこれが初めてだったので、記念に報告してみました。
 人間しょうもないことで人殺すってのは全然不思議じゃあないですよ。
 私の殺意の時間も終息し、ホテルまで一度戻ってそいから近くのファミレスでメシ食った。落ち着いた。鳥食って玉子食って茶を飲んだら落ち着いた。
 ガストより100から200円全般に安い値段に度肝を抜かれた。
 都会は物価が高いのではなかったのか。逆に安すぎるぞファミレス。
 ということで、姉にとってメインな感じの3日目、朝から偏った観光みたいなものをしにいったわけですよ。今回目的はいくつかあって、「婆さんの土産」「サンシャイン60展望台の妖怪展」「渋谷方面」とかでとりあえず巣鴨に向かう私たち。
 巣鴨は良かった。
 爺さん婆さんばかりで時間がゆっくりと流れていた。とげぬき地蔵で線香くさくなってその匂いに嬉しくなった。煎餅とか買ったよー。あの「ぶたぶたくんのおかいもの」のパン屋のショーケースみたいなのに煎餅みっしり入ってて興奮しちゃったよー。
 やはり私は寺社巡り好きらしい。
 そんで池袋でサンシャイン60展望台だ。その前に姉がたれぱんだ屋で何か買っていたが。私はたれぱんだ嫌いだが、嫌いで本当に良かった。好きになってたらきっとあんな数のグッズを買い集めていたことだろう。怖えよ。こげぱんも結構な量だがその比じゃねえもんなあ。
 で、展望台。
 ご覧の通り曇っていました。全然見晴らしよくない。晴れてれば富士山とか見えたんでしょうか。別に見えなくても困らないが、ここまで曇るこたねえだろ、と思わないでもない。
 問題の妖怪と言うと、展示してあるものは妖怪舎のフィギュアを出してきてそれっぽく、みたいなもんで、こんなの私半分以上持ってるよと思った。目々連は障子持ってきてでかく作ってあったが後は特に何も〜みたいな。それでもこの二つは大きく作ってあってかっこよかった。油すましと鬼なんだが、べとべとさんを大きくしてくれたらいいのに、と残念でしたね。
 まあ水木しげる記念館のべとべとさんに勝るものはないわなあ。
 グッズコーナーは妖怪舎の商品だらけ。そんなの境港で買っちゃったよ。ちぇっ。・・・と思ってたら、見たことない大きめの安っぽ〜いフィギュアがあったので買い込んでやった。ほんと大きめなんだけど350円くらいだったっけなあ・・・安かったんで、その分しょぼいんだけどね。5種類くらいあったかなあ。とにかく
だるまに襲われる目玉の親父がキュート。そして、「バックベアードVSねずみ男」と題しているにも関わらず全く戦っていないねずみ男がツボなので買ってみた。あとはうぶめ対鬼太郎、おとろし対鬼太郎とかだったか。
 妖怪の東海道五十三次画集を思わず買ってとても充実しておりました。何か間違っているが。
 ケンタッキーで飯食って、渋谷じゃなくて原宿で降りて、右翼の街宣車の行列の横を「バーバリー」とかいうブランド店に向かって歩いてみた。迷いながら。姉がどうしても行くとかいうし。
 かなりイラつく私。何故って行く先に楽しいものがないって分かってるうえに道迷うから。
 ブランド屋って嫌いなんだよなあ。何故って高いからだが、それ以上に店の雰囲気がなんともこう、困る。「何しに来やがったんだ汚らわしい、このメス豚」とか思われてそうで。思われているわけないのだが。それでも多分「おまえに合う服はここにはねえよ。ばーか」くらいは思われてるだろうからイヤなのだ。明らかに場違いなのだ、変なのだ、だから困る。
 どうもあまりに私が不機嫌だったらしく、姉は用事がすむと店を出てくれた。全部回りたかったらしいが、私が怖すぎたらしい。別に見てくりゃいいじゃあねえか。
 不機嫌なまま渋谷駅に向かって歩きつつ、以前から気になっていた「たばこと塩の博物館」に行けるのではないかということになり、行った。道には迷わなかった。自分の行きたいとこには、なんだか吸い寄せられるようにたどり着く私です。
 小学生の群れを押しのけ入場料100円払って入った。なんでそんな投げやりな安値なんだろう。
 ここは、マジで最高だ。
 不機嫌な私は一瞬にして上機嫌になった。塩の塊が入ってるケース見ただけで興奮した。塩に触りまくった。岩塩かなんかが砕いてまかれてあって、「研究用に少し持って帰っていい」とか書いてあったんで持って帰った。ちなみにパンフレットはこんな感じ。右は煙草の方の絵の一部。

 もうなんかこういうの意味もなく大好き。
 姉が「どうしようどうしよう」と悩むほど不機嫌だったはずなのだが、もうそんなこと忘れてかなり機嫌をよくした私はかなり間違っているというか人としてどうかと思うのだが、楽しいんだから仕方ないじゃないか!
 塩はいいねえ。楽しいねえ。煙草の文化はステキだねえ。えへへ。
 土産コーナーもいかしてましたよ。塩がいっぱい。こんなの持ち帰ってどうすりゃいいんだろう?
 塩でできた猪口とか最高。説明文に
「これでお酒を飲むと塩味がかなりきます」と書いてあった。本当に飲んだらしい。そりゃ液体入れるんだから塩もとけるだろうし、塩辛くもなるだろうに。「かなりきます」にはまったので買った。土産として。私は酒飲まないし。
 もし来年また東京に行くとしたら、もう一度ここを訪れるつもりです。リピーターだ。そんくらい面白いんだってば!
 その後はもうやることなし。
 姉が「109に行く」とか言うから行ってみたら、ここにもアホみたいに人がいて怖かった。っていうかどこも人だらけでうざい。姉は初めて見たので笑っていた。そりゃ笑うよな。
 どっかの地下にあるマフィン屋みたいなとこで、やたらもったりしたソフトクリームを食して東京駅へ帰った。
 どうも不思議なんだが、東京駅の「土産物屋」然とした店で、鬼太郎の妖怪ハウス・妖怪大辞典(クッキーとか入ってる、まあ要するに土産物)が「東京土産」ツラして並べられてるのは何故?
 ありゃ境港の水木しげるロードの土産だろうに。
 あれを東京土産として買って帰るってのもまあ別に知らないならわかんないが、知ってる人から見たらものすごい滑稽だぞ。もし東京行って見かけた人は、とりあえず「土産」としては買わない方がいいのじゃないかと思うですよ。
 鳥取行ったかと思うよ。私はね。
 そうしてまあ、いつもよりかなり時間を潰せて新幹線に乗ることができたわけだ。冷凍みかん食いつつ。
 来年はどうしようか。っていうか来年も行くのか?私。
 とりあえず帰ってきたら風邪ひきました。
 初夏からこっちのあの追い詰められ方と、旅の疲労がなんかこういい感じに作用して、弱っていた体ににキたらしい。
 多分熱とか出た。
 けど仕事休めないので行った。
 なんかとても理不尽だった。
 私の体はいろんな意味でぼろぼろです。左足親指の知覚神経もおかしくなったし。それはまあ旅には関係ないのだが。
 そんなこんなで今年はこんなでした。収穫もあり呪いありとある意味思い出深い。
 なにより「たばこと塩の博物館」にあそこまで熱狂できる自分がどうかしてる。あそこが一番楽しかった。生き返った。素晴らしかった。大好きだった。ものすごい印象深い。
 みなさんも渋谷にお越しの際は是非立ち寄るがよろしい。
 そして塩を持って帰ってください。死海の塩とか売ってて超興奮する。

おわり
2003年8月30日

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