雑談・よくある怪談のこと
私は怖い話が好きだ。
────ということを以前から繰り返してきたように思う。
まあ結局のとこ「絶対に自分は安全」という枠内で楽しんでいるのだから、実際怖い目にあったらそんな平静でもいられないだろうが、今のとこ一度もそんな目にあったことはないので怖い話談義に花を咲かせていられるのですな。
古今東西いろんな怪談が流布しているのはご存知のことと思う。
一昔前に日本を席巻した「口裂け女」や「花子さん」なんて最たるものだ。
はっきり覚えていないが姉が小学生のときにも一度流行ったというから、口裂け女の人気ぶりはすごいと思う。花子さんなんて鬼太郎並みのしぶとさで各世代に浸透しているから、元ネタはともかくいろんなバージョンを作り出した後進の人たちってすごいよなと思わざるを得ない。
そんでまあいろんな怖い話とか都市伝説と呼ばれるものとかあるわけですが。
これらには元々の話があってそこから派生して数々の似たような話が作り上げられていくらしいです。大昔、高校生のときに「流言の仕組み」みたいな本を読んで怪談の伝播、集団ヒステリーへのメカニズム的なことを流し読みした覚えがあるけどこれはなかなか面白かった。こうやって怖い話は増殖していくわけやね。いやそれと流言とはちと違う話になるんだが。
最近っつーかここ数年、よくある話というのは俗に言う「下男」ってやつ。
一人暮らしの女の子が家に友達を連れてきた。で、もう寝ようということになったとき、友達が不意に「コンビニに行こう」と言い始める。あまりに強引だったので断れず外に出ると友達が言うのだ。
「ベッドの下に男の人がいた」。
そいつは凶器を持っていて今日女の子を殺そうと思っていたらしい、とかそんな話。
まあうちのベッドは下に空間を持って物が置けるようになっている、中途半端に高いものなので人が隠れることは不可能なんだが、怖いっちゃあ怖い話だ。
あと「ストーカーがしつこく電話かけてくるので警察に調べてもらうことにした。かかってきた電話を逆探知すると実はそいつは家の押し入れに潜んでいた」ってのは別バージョンだろうか。まあうちの部屋の押入れは本だらけで人が入れるスペースはないので少し安心だが。
で、今話題にしたいのはその「下男」ではなく、他のかなり有名な話だ。
2つあって同じような種類のもんだと思うんだが、どっちが怖いと思う?と聞きたいわけですよ。
以下、オチないけどね。
@電話
女の子が夜、1人で留守番をしていた。
彼女の家はマンションの5階にあり、特に何も特別なところはない普通の建物だ。
普通にご飯食べてテレビを見ていたら電話が鳴った。勿論出てみるのだが、受話器の向こうはやたら静かでそして小さな女の子の声が聞こえる。
「今、マンションの前にいるの」
「は?」
聞き覚えの無い声、知らない女の子、ただのイタズラだろうと電話を切った。
しかししばらくしてまた電話が鳴る。
「今、1階にいるの」
うふふ、と笑う声が気持ち悪くイタズラだろうと思い込んで受話器をおいた。
すぐにまた電話が鳴る。
「今2階にいるの」
「イタズラはやめてよ」
腹立たしく思いそう抗議して電話をたたっきる。でも電話はこりずにすぐかかってきた。
「今3階にいるの」
「今4階にいるの」
「今、5階にいるの・・・」
かかってくるたびに自分のいる部屋に近づきつつある女の子。イタズラだと思い込むには気持ち悪く、逃げ出したいけれど他にいく場所は無い。
もうかかってきませんように・・・!恐怖しながら電話を見つめるが、祈りも虚しく無機質な塊は大音響で自己主張を始めた。
意を決して電話をとる。
「・・・もしもし」
「今ドアの前にいるの」
「もうやめて!!誰なの!!」
「うふふ」
恐怖に怯え電話を切った途端、ふっと部屋の電気が消えた。パニックに陥った彼女の耳元にあの女の子の声が聞こえる。
「今、後ろにいるの」
A階段
ものすごく安いアパートがあった。
何故安いかって、ありきたりに「あそこはでる」といわれるようなアパートだったからだ。どうもある部屋に幽霊がでて、だからそこにはだれも居つかないらしい。しかも決まって7日たたないうちに引っ越していく。
ある男がその部屋を借りた。噂は知っていたが会社から近いとか経済事情からそこを選ぶしかなかったし、また幽霊なんてものを信じてなかったから珍しい体験ができると楽しみにしていたところもある。
引っ越した夜、夜中に目が覚めてしまった。いつもこんなことはない。むしろ、眠ってしまえば朝まで絶対に起きることはなかったのに。
かすかに外で声がした。
「一段のーぼった」
子供の声だった。しかしそれだけのこと。彼は再び眠りに落ちた。
しかし次の日の夜中にも目が覚める。そして
「二段のーぼった」
またあの声が聞こえる。彼の部屋はアパートの二階、一階から続く階段のすぐ横にあり、その階段は7段あった(どうでもいいが7段しかなくて2階にいけるってすごい段差の階段じゃないか?)。
次の日もその次の日も声は聞こえ、1日を追うごとにその数は増えていく。
階段を登っているのだ。段数は7。
今までの住人はあの声が怖くて7日たたずに逃げ出していたのだ。じゃあ、7段登ったとき何が起こるのか、オレがこの目で確かめてやろうじゃないか────。
男は7日目も勿論その部屋で眠りについた。
次の日から男は会社に姿を現さなくなった。心配した同僚が彼の家を訪ねるが返事が無い。
大家に頼み鍵を開けてもらうとそこには男が布団の中で死んでいた。
7日目に何が起こるのか、死んだ彼しか知る者はいない────。
という話なんですけど。
私が書くと全く怖くないなあ。駄目だこりゃ。
そりゃいいんだが、ね、なんか同じグループの匂いを感じませんか。近づいてくる得体の知れないもの、真綿で首をしめられるように追い詰められていく状況。怖くない?怖いよな?
で、バージョン違いのこの話、どっちがより怖い?
私は後者なんだが。
というのも、多分小野不由美作の「緑の我が家」に出てくる、「黄色のチョークで床に絵を書き、その絵が止まった前の部屋の住人は死ぬ」ということをやりやがる幼稚園くらいの女の子の怪談がめちゃめちゃ怖くて、それが作用している結果かもしれない。
あの女の子はほんとに怖かった。というより小野不由美は大概怖いのだが、緑の我が家の中であの子はダントツ1位だよ。こええよ。黄色のチョークだよ。何故白とかじゃないのか。
まあいいけどよ。
別に大した話をしたいわけじゃない。
要はどっちがより怖いか?ということで、怖いと思った方教えてよ、といいたかったのですよ。
関係ないけど、上記のちんけな文章を書いてるときちょっとどきどきしてました。
後ろに何かいたらどうしよう、みたいな。
私もけっこうなビビリなんすよ。ええ。関係ないとこで起こることなら大好きというのは人間の性だけどさ、自分に起こるとヤだよね。
しかし目下私にとって怖いことは、今年カメ虫が大量発生しているそうで、それが秋口から冬にかけて私に襲いかかってきやがるかもしれんということです。
昨年は大型カメ虫の大攻勢にあいましたので、今年は勘弁して欲しいものです。
あいつらは駄目なんだよ。
しぶといから。
おわり
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