蟹江敬三のここがいいんだ!

以下敬称略。不穏当な発言があった場合は謝ります。
でもこれだけは────私は本気で好きなんです。それをわかってください。

 2001年11月13日  
 昨日、とてもびっくらこきました。
 そのびっくりさ加減を記念にしておこうかと思って一筆したためようと思います。
 そこかしこで(といっても最近はそうでもないんだが)桜小路は、「蟹江敬三が大好きだ!」と言い続けてました。いやほんとに好きなんですよ。恋しちゃってますね。
 で。
 なんで好きなのかってなると、もうわかんないんですよ。
 一番最初に彼を認識したのは小学低学年の頃はやった「スケバン刑事2」なんだが、本気で彼を好きだと確認したのは高校入ってから、というところでわけがわからない。
 スケバン刑事に於ては、「鉄仮面かぶっていたにもかかわらず前髪がちゃんと短いスケバン様」と「影のボス」の接点となる「教師」という名の連絡要員(っていうか中間管理職か?)西脇として桜小路の前で鮮烈デビューを果たした彼、「スケバン刑事1」の神恭一郎とは全く逆のキャラとして番組内を闊歩した。はずだ。
 私は彼のことを「西脇さん」だとずっと思ってました。
 本名を知らなかったし覚える気もなかったのですな(笑)。
 だからスケバン刑事が終わって後、彼をブラウン管で見れば必ず「あ、西脇さんだ!」と言ってました。多分あの連続ドラマで誰が好きだったかって、西脇さんだったんだろうな。
 数年間はそんな「気になるアイツ」として存在した蟹江敬三がいきなり台頭してくるのは高校に入ってからだったろうか。かなり曖昧だけども。
 夕方の再放送枠で「さすらい刑事旅情編」を始めたんですよ。
 この頃水曜9時の時間帯は「はぐれ」と「さすらい」を交互にやってて、勿論蟹江がでてるって知ってたし、だからこそ学校から猛ダッシュで帰って見てました。見れなかったらビデオにとった。次回予告とかで蟹江が主役っぽいときは特に。
 ────あれ?じゃあ「さすらい刑事」があるのを知る頃には既に好きだとわかってたのか?
 以前GLAYのとこで言ったことあるけど、私、「好き」と認識するまでが異様に長いので自分でもいつからファンなんだかわかんないんだよな。どーだったっけなー・・・まあいい。
 とりあえず絶対に蟹江が出てくる刑事モノであり、刑事モノ好きの私としては願ったり適ったりなわけだったのです。はい。
 「さすらい刑事」についてはいろいろと思い出深い。
 鉄道警察が舞台なんだけども、その詰め所みたいなとこで朝、米なんかといでたりするんですよ。米。おまえここで暮らしてんのかよ、とつっこみいれつつその横からの姿に見とれましたね。
 んで、多分シリーズ2本目の最終回で、一人温泉に入る蟹江。ファンサービスじゃん(笑)。
 よくラストシーンで、「海岸等で犯人と若手刑事が対峙している」というものがありますが、若手刑事が危険になったとき横から躍り出てきて背負い投げちゃったりしたこともありました。超かっこいい。その時私は歓声というか、奇声をあげてました。思うだにヤな高校生だ。
 で、最大の見せ場は私の中で超有名な「回想シーン」だね。
 蟹江が役やってる刑事はまだ若い頃、自分のせいで先輩が大怪我してしまった、という苦い過去を持っていた。その先輩がなんらかの形で話に絡んできたんで、勿論その過去の回想もドラマに入ってくるのだが────。
 「若い刑事」を表現するのに、そんなことでいいのかと感心しました(笑)。
 蟹江の顔形は変えられない。何を変えたかって髪形なんだけど、それがまた、セットしてあった前髪をおろしてみました、という感じ?そんだけですよ。ああ────髪にボリューム感がでるだけでこんなにも違うのか・・・と別方向で感心するシーンだったな。懐かしい。
 「沙庄妙子最後の事件」では怒りっぽい上司の役やってたよね。
 最終回のあのかっこよさをみなさん覚えてますか?!・・・とかいってる私がうろ覚えなんだが、確か沙庄さんが危険なとこに唐突に現れて犯人を撃ち殺したような、ま、それに近いことやってたよ。
 「おとり捜査官」シリーズは・・・脚本が駄目駄目なんで物語には触れられないけど、蟹江はOKです。あの無精な叩き上げ頑固刑事の役、蟹江にやらせたら右に出る人はいないわ。保証する。
 で、私が一番好きなシリーズが「わが町」(エド・マクベイン・作/87分署シリーズ)なんだよな。
 火曜サスペンス劇場かなんかでシリーズとして存在するこれ、渡辺謙が入退院を繰り返すために最近ぱたりとやってくれません。でも今元気みたいだから作ってくれればいいのになあ────と無責任なことも思ったりします。
 というのも渡辺謙が主役のドラマなもんで。刑事課を舞台に巻き起こる人情物語なわけです。
 これに「鳴海」刑事として登場する蟹江、ズボンにタオルを突っ込んでたり、なんかもうただのおっさん。そこがいいんだけども。
 ここでトラブル起こすというか、問題起こすのは大概鳴海刑事以外の人で彼は調停役に回ることが多い。裏を返せば主役じゃないってことなんだが、彼は家庭にちょっと問題を抱えていてそれが逆に可笑しくなってしまう。不謹慎なんだけどさ。
 というのも。
 「わが町」に限らず多分「さすらい刑事」でもそうだったと思うのだが、蟹江がやってる刑事ドラマの役って、ほっとんど、
 「娘が反抗期」
 「娘が家出」
 「最近娘がチャラチャラしてて言うこときかん」

とかとか、やたら娘に問題あるんだもん。
 「わが町」で、「娘が家出した」と言った時、「おいおいまたかよ」と突っ込みいれたし。
 そして次の回のとき、「家出した娘が四国の親戚のとこにいた」とかいうことになって、「なんじゃそりゃ」と思った。見つかって良かったんだが、なんか可笑しくない?
 可笑しくないか。ごめん。
 「卓球温泉」では家庭自体が崩壊しかけてたよね。
 ちょっと情けない犯人役とかやってたこともあったかな。
 鬼平犯科帖にもいたしさー、必殺仕事人もやってたか?違うかな。
 「編集王」は原作を知ってるばっかりにドラマ自体に興味湧かなくて見なかったけど、たまにチラリと見かけるたびにドキドキしてました。マジで。
 以前週刊文春に乗ってた「毛髪活性」の広告切り抜いて壁に貼ってたこともあるよ。だって緒方拳のポスターはあっても蟹江のポスターってないもん。同じく「毛髪活性」の広告の便乗で、「昔はふさふさだった」という蟹江の若い頃(30代前半と思われる)の小さい写真が載ってて、思わず切り抜いて財布にいれてました。
 いやほんとに、超かっこよかったんだってば。
 モノクロ写真で、Gジャンぽいものを着た男らしい写真ですよ。勿論今でものけてありますさ。
 梅酒の宣伝とかー、ユニマットの宣伝とかー、勿論毛髪活性も含めてCM録画したりね。


 さて。
 そんなに好きだというのに、私は「蟹江敬三」の情報っていうのを集めようとしなかった。
 今もポンキッキを記憶と妄想で書き続けているというのにも、その怠惰さが如実に表れている。
 けどもバイトしてたとき、「芸能人年鑑」みたいなのがあって、なんとなく蟹江をさがしたら載ってたんだよね。誕生日とか所属事務所とかわかって(誕生日がうちのおかんと同じ日だった。びびった)、思わず事務所の住所とか控えてさ、
 「誕生日にはプレゼントでも贈ろうかしらん?」
とたわ言を考えたりして。
 贈ってないけどね。
 その代わり、ファンレターを送りました。もう2〜3年たつと思う。
 自分で何を書いたのかも忘れてます。多分いたらんことを書いてたと思う。好きだということを異様に強調したような感じで。
 その手紙がさ、本人に届くことってあると思う?
 大体いきなり地方の女から手紙きてさ、すげー怪しいじゃん。
 勿論返事なんてくるわけないし、わかってるから落胆もしませんでしたけどね。
 しばらくたって事務所から封書が来たんだよ。一枚広告が入ってて、今度「東京」で舞台があるから来て、ということが言いたかったんだと思う。
 すいません、広島県人としてはそんな遠くに行けません。
 誘われれば行きたくなる私ですが、こんなに遠くちゃグウの音もでない。
 あきらめました。
 その頃「いつでも笑みを」とかいう番組に蟹江がゲスト出演したことあって、その舞台の宣伝やってました。トーク番組で見るの初めてだったんで、ビデオにとってかじりつくよに見ましたよ。
 ああ、娘も役者なんですね、という新情報も得たし。
 あれからどのくらいたったかなあ────1年くらいっすかね?わかんないや。
 ここからが本題なんだよ。長い前置きだったね。
 昨日さ、手紙が来た。封書で。
 裏書見ると、蟹江の所属事務所の横に名前が書いてあんの。女の人の名前だけど、苗字が「蟹江」。
 「・・・・・・」
 これってさー、もしかして────蟹江の奥さんなのか?!
 名前見たときの私の衝撃を一体何人の人がわかってくれるだろうか。
 開けると中には広告と、二枚の便箋が入ってた。
 今度「冬の運動会」という舞台を東京で(またかよ)やる、という主旨の広告が一枚。
 そして、恐らく奥さん直筆のお手紙が2枚。
 要約すればこっちも「舞台やってるんで来てください」みたいなもんなんだが、たまに書いてあることにぐっときちゃってさ。
 「以前ファンレターをいただきました。(蟹江敬三は)手紙を読んで大切に持ってます」
みたいなことが書いてあんの。
 マジで。
 嘘かほんとか知らないよ。多分、後ろ向きな私の考えをもとにするなら、九分九厘見てないと思う。見てても大事にとってたりしないだろう。
 しかしさ、嘘でも「読みました」って書いてあってさ、本当に泣くほど嬉しかったんだよ。
 しかも覚えてて手紙くれるんだよ?奥さんがだけど。
 この嬉しさをわかちあおうにも誰もわかってくんないんで、不特定多数の人たちに訴えてみました。
 本当に舞台を見に行けないことが残念でならない。東京に住んでりゃ絶対行くのにっ。一等席はちょっとキツいので、三等A席くらいで。・・・駄目じゃん。
 にしても、嬉しー。やっぱ今年は当たり年だね。
 あんまり身にならんアタリだけど。・・・っていうかさ、私に手紙を出すほど客が入ってないとかだったらどうしよう────そんなことは絶対にないと思うけども。
 あーもー、超見に行きてえっ。


 ちなみに蟹江敬三の何がいいのかって考えてみた。
 いつから好きなのか、なんで好きなのかもうわっかんないんだけど、多分これじゃないか?ということで。
 いかつい顔ですっげえ男前というわけではないと思う。ここは認めよう。
 しかし演技はすっげーうまいんだよ。いろいろ見ましたが、私としては刑事役の蟹江が一番好きです。惜しむらくは主役になったことがない(もしくは主役を見たことがない)こと。ほんとに脇役ばっかりでさ・・・寂しいね。
 名脇役なんて聞こえはいいけど、主役じゃないんじゃん、結局。
 エド・ハリスも名脇役とか言われててかなりショック。私が惚れる人間は脇役ばかりですよ。関係ないけど、エド・ハリスの顔ってプーチン大統領系だったんで、もう少しでプーチンに惚れるとこでした。
 惚れてません。
 ま、その脇役の蟹江がさ、造作はいかついんだが優しい表情をするんだね。
 米とぐしね。
 「さすらい刑事」で「上海帰りのリル」を歌ったしね。いや、歌いだしたときはどうしようかと思ったよ。
 なんか「いい親父」って感じすんのです。自分の父親だったら絶対ヤだけど、端から「娘の反抗期に悩みつつうまく対処できない頑固親父」を見ると面白い。そんな役がはまってると思う。
 浮気しておろおろしてるとことかさ、そーいうのはあんまり好きじゃないけど、演技ほんっとにうまいし、悪者もいい親父もなんでもこなしちゃってまあ、魅力抜群じゃないですか。
 ・・・・・・なんか「何がいい」の答えになってないな(笑)。
 でも、蟹江を見たらトキメくし、背負い投げ見ようものなら素敵すぎて嬌声あげるし、彼の姿(特に刑事)はとにかくなんでも素敵で大好きなんですよ。
 私の中で刑事と言えば蟹江か「刑事貴族」の連中ね。それ以外は認めない。
 一度「すごいピンクのシャツと黒いズボンを穿いたヤクザ崩れみたいな蟹江敬三と(恐らく)私がワゴン車の中で話をしている」という、なんかよくわかんないシチュエーションの夢を見たことがある。
 それをネタに一つ小説ネタを考えるほど印象に残るシーンだった。
 私が書く話に出てくる刑事は大概蟹江敬三がモデルになってて、みんな同じような性格で困る。
 何が言いたいのかわかんないが、それくらい私の奥深くまで食い込んでるすごい人間・蟹江敬三ということなんだと思う。
 
 ああ、あの手を一度でいいから握ってみたい。
 多分嬉しすぎてラリるだろうね(ヤな表現だな)。
 

おわり

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