A巣立ち、そしてライバルとの出会い

 なんとか生まれた鳩の子供、登録にいくと偶然にも「0777」というゾロ目の番号だった。これはもう「アラシ」とつけるしかないだろう。
 アラシと名づけられ、巣箱を苦労して屋根の上に作り、次郎は襲いに来る猫と格闘しながらまだ子供のアラシを守った。なんとか死守し、初めて空を飛ばせて巣箱へ帰ってくることから覚えさせねばならない。
 距離を1キロ、2キロとのばして放鳩訓練を繰り返してアラシはどんどん一人前のレース鳩として成長していく。次郎としてもレースに出してもいいかな?という気持ちになった頃、レース鳩協会に行ってみるとレースは日本中にある連合会へ入らないといけないことがわかる。地域には連合会の下にまたクラブというものがあり、そこに加入することで短距離レースからだんだんと長距離へ挑戦させていくのだ。
 次郎の近所にもクラブがあり、そこに行くと4人の愛鳩家がいた。皆が皆中高生ぐらいの年齢というところがまたいい感じだ。都合いいよね。
 また、この4人ともが一癖ある奴らばかりだ。当たり前か。これからあのグレート・ピジョンの子供・アラシのライバルとならなければいけないのに、そんじょそこらの一般鳩と一緒にされると困るというものだ。


@イナズマ(1720)   君原早人所有。期待された陸上選手が事故で選手生命を絶たれ、暇になったので怪我のリハビリの傍ら鳩を飼うことにした。手に入れた鳩は夜目は利かないものの、力強い羽ばたきで他の鳩を威圧する。
Aオフクロ(0296)   山下佐清所有。母親を亡くし放浪癖のある子供が飼い主の、方向感覚に優れたメス鳩。瞬時に方向を見極められるその能力は一目置かれている。
Bトップ(0001)   睦月一所有。マニュアル型秀才典型的見本だが、鳩に対する情熱は人一倍の飼い主に箱入りで育てられた鳩。短距離型。そのスピードは早く、小さな大会なら一位独占状態。
C白夜(0108)   大関くん所有。次郎の同級生で性格の悪い少年の鳩。2巻からの登場で、気が荒いが夜目が利くいい鳩だ。鳩痘というやばい病気にかかるもなんとか乗り越え、偉大なライバルへと成長していく。


その他の鳩
Dグレート・ピジョン   黒田さん所有。言わずとしれたアラシの親。しかし、黒田のおっさんは、この鳩が結果も出さないうちから、「すごい鳩になる!」とわかったんだろーか。
Eマグナム   黒田さん所有。グレート・ピジョンの息子。アラシの兄にあたる。貧弱な体で、額には子供の頃雨の日に大人の鳩にいじめぬかれた傷が大きくついている。


4巻以降登場
Fデリンジャー(1865)   松平晴嗣所有。小型の鳩。気性が荒い。
Gマックス(9999)   明智光夫所有。鶏くらいあるでかい鳩。不気味にはばたくその姿は鴉も蹴散らすぞ。