ブルースワットは永遠に不滅という話
これはもう5年以上も前に放送していた、幼児向けの特撮番組のことです。
設定としては、もともと大きな研究所の一機関がスペースマフィアが侵略しにくることを知って、たった3人のスワットチームを編成、立ち向かえよ、というような感じでした。
しかし一話目にして、宇宙人の陰謀により研究所は崩壊。崩壊させたのは宇宙人にインベード(乗っ取られること)された研究所の所長。初めからこんなハードな話でいいのか。しかも次の日自分たちが研究所を壊して死んだと新聞報道されてて、「まあいいや。探偵でも始めて気長に宇宙人に対抗する方法を考えよう」とかなり気楽な感じ。
こうして話数をかさね、機械関係に強いハッカーとドジでお茶目なバイトの女の子を仲間に加え、5人で戦いを繰り広げていくわけである。
5人の中でも主役はショウという若者だろう。トライアスロンで優勝とかしていた彼は、ライバルがインベードされて結局死んでしまうという、凄まじい内容の話があった。この人はとても正義感の強い人で、この人が存在しなかったら地球は滅亡していたかもしれない(後述)。
サラという女は、昔外国でスワットをしていたとき、上司を宇宙人に殺されたという悲しい過去を秘めている。
そして一番複雑なのはシグだ。
この人はぶっちゃけて言えば宇宙人である。が、地球上では実体として現れることができない体の構造をしている。スペースマフィアと戦う人たちだったが、そのうちに仲間の宇宙人は皆死に、地球に辿り着いた彼は事故で脳死状態となっていた日本人の体にインベードする。事故にあった日本人にはフランス人の妻とザジという子供がいて、妻は事故で死に子供も未だ昏睡状態。本人は子供の意識が回復したときに体から臓器移植して子供を助けようと冷凍保存されていたのだ。
しかしそれを逆手にとられ、子供は敵の親玉にインベードされる始末。
外見的には親子対決という、シグにとってダメージの大きな構図がえがかれていた。
で。
このシグがまたかっこいいんですわ。
おっさん好きなんですが、この人はツボつといツボを突きまくった。
悲愴なバックボーンがいいし、冷静で状況を見る目はさすが百戦錬磨の宇宙人。そのうえ顔がかっこいい。普通のおっさんというところなんかたまりません。
最後あたりでザジを敵から取り戻し、臓器移植するという話があったんですが、手術が終わった瞬間にシグがベッドから飛び上がり宇宙人たちをぶち倒したのには感動しました。すごいよこいつ。んで普通の顔で言うんですよ。
「・・・私はこれで、とうとう本当に地球人の体と融合しました」
確かに流れる血は赤いけどね。いいのか、そんなことで。
正体がバレて仲間内でもめたこともあったけれど(彼の指を流れる緑の血は笑えた)、彼らは力を合わせスペースマフィアの壊滅に成功したのだ。
とてもいい話でした。英単語の多用も国際化の波で時代を反映しててよかった。
でもブルースワットって凄く人気がなかったらしいんですよ。
幼児向けでなく小学校高学年向きの内容とか、地味すぎるコスチュームとか、あんまり派手な話じゃなかったからでせうか。
レンタルでもあまり全巻そろっている姿は見かけません。あんなにいい話はなかったのに。ショウが怒髪天つくと、宇宙が割れて「ゴールドプラチナム」という売るといい値がつきそうな正義の宇宙生命体が命をかけて地球を守ってくれたりしてすごく良かったのに。ショウがいなければ彼は来てくれないわけで、最終回に地球に隕石があたらなかったのは彼のおかげともいえる。CDに入っているプラチナムの曲はバラード調で聞き心地抜群だし。
しかもショウは戦いで命を落としたプラチナムの変わりに、サラを連れて次の世代のプラチナムとなるべく宇宙へ旅立ちました。
いい話です。
どなたかブルースワットを全部見たとか、すごくファンだったとか、シグがちょっと前中学生日記で先生やってるのを見て泣きたくなったとか、そういう方ご連絡ください。
ここの文章は気が向けば改訂して、ブルースワットの素晴らしさを布教していく所存であります。