ビデオ鑑賞しました!…というわけで。

ベストソングコレクションは本当にベストなのか?という話


その1 購入過程のすったもんだ

 まずは、ポンキッキの歌のビデオの存在を知ったのはいつのことだったか。
 もう5年以上も前、CD屋の店頭で一つだけ置いてあるのを見つけたんですよね。金額としては3000円前後で、その時買えない値段ではなかった。内容的にも私が最も欲しいものが入っていた。欲しかった。欲しかったけど買わなかった。
 だって、大学生の女がそんなもの買ってどうするんだ?という思考が先に立ったのだ。
 それにすぐに売れることもないさ、と高を括っていたところもある。
 そのうち店頭からビデオは消えた。どこでも見られなくなった。トーマスとか変な英語ビデオとかどうでもいいから、あの素晴らしい歌のビデオを置いてくれと何度願ったことだろうか。
 結局ビデオは戻ってくることはなく、半ば諦めて日々を過ごす。
 欲しいものはその時買っとけ、という一種の座右の銘を考えました。ほんと、いつなくなるかわかんないから、欲しいと思ったらキープしといた方がいい。それで何度後悔したことか。この前なんか、「残酷な神が支配する(萩尾望都)」の古本10冊セット見つけたけど高いし重いからまた今度にしよ、どーせ売れやしないさと軽く見てたら、案の定売れちまってやがるよ!ちきしょう。今度見たら絶対買う。あと、「聖痕のジョカ」の古本全巻どっかにないですかね。
 まあそりゃどうでもいいや。
 で今になってネットでビデオないかなと捜したぐらいだから、完全には諦めてなかったみたいなんですね。私。
 辿り着いたのは幼児向け教育セットを販売している某会社。
 ホームページ上でポンキッキだけじゃなく他のものも宣伝していたが、とりあえず私としてはポンキッキの歌しか興味ないんだからその部分を捜してみた。
 とりあえずありました。5巻セット26000円で。
 一瞬にして引きましたね。52キロぐらい。
 たった5コで26000円だあ?なめてんのか。っていうか5年前のあの3000円ってなんだったんだ。単純計算しても1500円近く割高じゃねえか。セット販売のくせに人の足元見てんじゃねえよ、ケッ。
 いろいろ悪態つきつつ眺めてたら、さらに驚愕すべき文字を見つけたのでした。


「ひらけ!ポンキッキ教育セット」送料・税込価格 342,000円!!


 なんじゃそりゃ。
 そんなもん買う奴いるのか。
 …いやまあ、保育園とか、そういう組織企業として買うというのは考えられるが果たして個人で購入する奴っているのか?たかが教育セットで。
 その中の「ひろがるせかいセット」の中の「うたのベストコレクションビデオ」として存在してるのだな、私の欲するものは。
 買うか?これを。
 26000円だぞ。冷静になれ?410円のコミックなら63冊くらい買えるし、講談社のミステリ小説なら30冊近く買えるし、プレステソフトなら新品を5本近く買える算段になっている。
 でも、欲しいものは欲しい。
 私はずっと探し求めてたじゃないか。
 ポンキッキのビデオ。
 まあ、資料請求する分なら害はないだろ。電話で問い合わせて、バラ売りできるかどうか確認して、それから決めても遅くはないさ。
 心をなんとか落ち着けて、次の日の昼休憩時間に電話をかけてみたのでした。


 会社でこそこそと電話かけました。
 「はい、○○書房です」
 「すみません、そちらでポンキッキの教材セットを扱っておられますか」
 「はい」
 「あのですね。歌のコレクションビデオっていうのあるじゃないですか。あれってバラ売りはできないんですか」
 「少々お待ちください」
 音楽。
 「お待たせしました。あれはですね、5巻で26000円となっておりまして」
 「じゃあバラ売りはできないんですね」
 「そのですね、教育セットの中からのバラ売りということになりますので」
 「さらにそれをバラにしてもらうということはできないんですね」
 私は欲しいのはたった1つだけで、まあ買っても2本しかいらないんだけど、なんだかバラはやっぱ駄目みたいだ。
 「じゃあとりあえず、資料だけ送ってもらえますか」
 「はい、それでは郵便番号からお願いします」
 住所と名前教えて、相手の女の人は最後の質問、そして当然のことと言わんばかりにこう聞いてくる。
 「それでは、お子様のお名前を教えてください」。
 「え?」
 …………いや、いないッス。すみません。
 子供のためでなく自分の娯楽のために欲しいんです、ビデオ。
 「いません」
 「あ、すみません。それでは一週間ぐらいで資料は届きますから」
 「はいお願いします」
 資料は本当にまるまる一週間かかってやってきました。
 どんなのがくるかと思ったら、透明ビニール袋に薄っぺらい一枚ものの紹介ペーパーと、一色刷りでみすぼらしいプリント2枚。
 これ送るのに一週間かかんの?
 どーいう事務の仕方してんだ。とろすぎる。
 まあそれでとりあえずビデオのところ見たんですけれども。
 曲名は全部わかった。まあ、全部の巻にそれなりに期待できるものが入っている。買ってもいいけど、やっぱ引くよなあ、この金額は。
 ここでうちの母に聞いてみました。「これ買ったらどうする」と。
 反対されると思ったんですね。少なくとも嫌な顔するのかと。だが、母は「いいんじゃないん。私は買わないけど」と言った。
 買ってもいいんじゃないんということだろ、これ。
 ぐらりときた。もともと買いたかったのを後押しされた感じ?あとは簡単なこと。本当にビデオの内容は、ポンキッキの番組で流れていたままかどうなのかを確認し、そのままであれば買えばいい。違っていたらやめればいい。
とにかく、資料がきて家族との会話とか曲の羅列を見て気持ちはほぼ固まったのであった。



 次の日の昼、またこそこそと会社から電話をしてみた。
 フリーダイヤルだし別に会社になんらかの迷惑をかけるもんじゃない。
 注文したいんですが、内容のことですけど、と電話に出た人に聞くと
 「ご説明の電話はなかったですか」
という言葉。ああ、みすぼらしいプリントにあった「近日中に専門の者が詳しい説明の電話をします」って文は本当のことだったのか。まあいいや。別に、今聞きゃいいことだし。
 なかったですけど、とりあえず教えてください…というと女の人は専門の女の人に代わってくれた。だから質問をぶつけた。


 「ビデオに入っている映像は、ポンキッキで放送されていたものをそのままビデオにしたものなんですか」


 上記の文、おかしくないですよね。伝わってますよね?
 だから相手は「はい」「いいえ」で答えれば一瞬のうちに商談は成立、私も安心して頼むなり断るなりができたのだ。が。
 相手のおばちゃんはよくわかんないことをいった。
 「いえ、これはオリジナルの映像を使っておりまして…云々」
 「え、じゃあ、放送で使われていたものをビデオにしているってものは扱ってないんですか」
 「オリジナルの映像を使ってますので、放送時と全く同じというわけでは…云々」
 ちょっと待ってくれ。
 私としては「放送されていたそのまま」のものが欲しいわけだ。
 この会社独自の映像のビデオ送ってこられても私ゃそりゃ困るのだ。
 その旨伝えるが、全く会話が要領を得ない。そうならそう違うなら違うって言えよ!喧嘩売ってんのかおまえらは。
 こりゃ駄目かな、と諦めつつ会話を進めているとなんか変な話になってくる。
 当初9:1の割合でほぼ会社独自ものという路線だったのが、いつのまにか5:5の割合になってきている。あれ?この人、私がしつこいから適当ぶっこいてんのか?
 「あの、じゃあ、テレビで流れたのと同じ曲はどれですか」
 この質問に女の人は、ビデオ第2巻まるまる私に解説し「番組で使われていたもの」ということをアピールした。
 話が違う。今の状況だと1:9で番組そのままビデオになってるやん。
 「あのですね、私がここまでしつこいっていうか、こんな話になってるのは、最初ビデオの内容がほとんどそちらの会社のオリジナルの映像で、番組で流れていたものからは変えてあるというような話だったからなんですけど」
 「あ、それはないです。作られた当時そのままのものを使用しています」
 だったら早くそう言えよ!
 遠まわし且つ意味不明な説明やってんじゃねえ!!
 人を余計な心配の渦に放り込まずにもっとわかりやすい説明の仕方練習して来い、馬鹿野郎。
 ……というのが、この女の人、「オリジナル」って言葉に固執しすぎてて、番組オリジナルという意識が私には「うちの会社オリジナルでございますわよ、ほほほほ」という言葉に聞こえたのでした。
 これって私は悪くないよな。
 そんなこんなで、とりあえず確認は取れた。
 内容については何度も念押しし、注文というとこまでこぎつけたのである。


 商品は今週中には届きますという言葉とおり、火曜注文土曜着(祝日一日挟む)でした。資料もこのくらいの機敏さが欲しいとこだよね。


 で。
 また別の人から「商品説明」ということでうちに電話がかかってきていたらしい。2回ぐらい。
 1回目はおらんと言ったらその日はもうかかってこず、2回目は夜ならいますと言ったら本当に夜にかかってきた。
 「出かけられてると聞いたから何か用事かと思ってまして、お仕事に行ってらっしゃるとは思ってなかったんですが。…子供さんはいないということですが、何かお仕事で使われるとかそういうことなんですかね」
 違います。趣味です。
 この人たちは本当に私を、子持ちの母か無職の家事手伝い(もしかしたら妊婦かな)か保母的ななにかにしたいらしい。
 まあ、普通こんなものを趣味で買う奴はあんまいないか。
 とりあえず、かけてきた人には申し訳なかったです。もう注文してしまいました、といったら残念そうっていうか、むしろ少なからず怒っているように聞こえたのです。
 営業の人としては、他人に得点取られた形でおもしろくはないわな。
 まあそんなこんなで、とうとう悲願のポンキッキビデオを入手できました。高いし、不満も少々残りますが本当は手に入らないかもしれないところを買えたのだから、まあ、我慢しておくしかないでしょう。
 そういうわけで、次は内容についての感想いきたいと思います。
 引き続きよろしく。

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2005/8/20追記
以上の文章、及び次回からのビデオ鑑賞を読んで、
ちょっと間違って欲しくなってしまった方には申し訳ないですが、
現在いずみ書房さんではポンキッキ商品扱ってません。
 教育ビデオの在庫があれば対応しているくらいです。
 それでもよければそちらでご確認ください。