それ、特別じゃないからな!
−一人歩きも大概にしなさい編−


 ポンキッキの歌、なんだと思ってんだこの野郎。


 最近そう思うことがしばしばだ。
 わかってない人多すぎ。
 それの顕著なのが「ポンキッキーズ30周年記念」とかで出されたアルバムになるわけだが、あんなの、ある歌をいれたいがために出したのが見え見え。そうでないと言い張ったとしても、1曲目にあれを持ってきた時点でどんな理屈も通じねえよ。よく考えろ薄汚い商人が────とか変なこと考えたりするわけだ。
 ある曲ってそりゃもちろん「たべちゃうぞ」ですけどね。
 まあ私別に、あの歌が嫌いというわけではないですよ。
 怖いとは思う。ガチャピンは怖いやつ(というかむしろズルい)と思っていたが、それを目に見える形で証明してくれたという画期的な歌であるのは間違いない。随分前にレビュー書いたし、あの気持ちは嘘ではなく、しかし聞けばそれなりにいい曲でいい歌であると言いますよ。
 母親が子供を食べちゃいたいと思うほど可愛いと思ってるとか、いたずらっ子に対する躾の意味合いもあるのじゃないかとか、番組の観点から鑑みても議論のタネには事欠かない。あれはバラエティのネタではなくて、ポンキッキという番組を飾る1つの歌っていうだけで、なんかこう、あの歌すごいよね、じゃなくてあの歌すごいよね、というようなそんな話題へ持っていきたいじゃないか。
 ぶっちゃけ、そんな飛びつくようなものでもない。
 異質なものには違いないが、同程度に異質なものもないこたない。
 この歌にとっては残念なことに、おまえよりいい歌は山ほどあるんじゃいと。
 だからみんなもそっちのことをより重点的に考えてくれと。
 まあね。
 やたらに注目されることになったのは無論某番組で取り上げられてしまったからだ。曲自体のインパクトにあの紹介VTRの演出も重なって、かなりの影響を日本全国に撒き散らしてしまった。メディアの力は凄いと言うか、これぞテレビの力というかなんというか。
 別にいいんですけどね。
 ああそういうものもあったのだ、と振り返るのはいいですよね。
 これによってポンキッキに対する関心が高まればいいなあと淡い期待を寄せたりもしますよね。
 期待は期待で、なんにもなりゃしないのだが。
 実際幼児番組を卒業した方々が、真剣に幼児番組を考えることなんてないだろうし。あの歌だけが一人歩きしていったことは仕方のないことなんでしょうよ。
 ただ。
 一人歩きしすぎじゃないのか?
 今日そう思いました。そう思うことがあったんですよ。
 なんで今頃そんな話にかって、私の中で「たべちゃうぞ」がそこまで大きな存在じゃなかったからか。
 嫌いとか駄目とかって話しでなく、これは前述したように数多くある歌の中の1つ。これよりいい歌は山ほどある。それにこんな見るからに一過性の話題、ここまでの影響をもたらすとも思っていなかったのだ。
 逆にびっくりだよ。
 ────何が言いたいって、その、あれですよ。


 誰だ、この歌、カラオケに入れたヤツは。


 久しぶりにカラオケに行きました。
 何気なくポンキッキのとこを見ました。
 随分前から入ってて私が気付かなかっただけなのか、最近入曲になったのか定かじゃないが少なくとも二種類の通信カラオケに入っていやがった。
 ああそうですよ。
 怒ることじゃないんですよ。
 リクエストがあった。需要が高かった。だからいれた。みんな一度くらい試しに歌ってみるかもしれん。場はこのネタ知ってる人に限って言えば盛り上がるだろう。
 みんなで盛り上がるところ。カラオケとはそういうとこだろう。
 でも私の感覚がそれを許さん。理不尽な話とお思いになる向きはあるだろうが、すげえ解せんのですよ私。
 他に入れる歌なかったのかよ。
 そうは思わなんだか?
 幼児番組の歌が入ることって少ない。現在進行形で放映される「おかあさんといっしょ」の歌だって全部入るものじゃ当然ない。私すごい「かけぶとん・しきぶとん」入るの待ってんですけど。
 そんなだから当然終わってしまったポンキッキの歌が入ることって奇跡なのだ。ちょっと前に唐突に「パタパタママ」かなんかが入って、驚いたくらいだ。驚いた上で興奮もした。まだ望みは残っているのかもしれないと。
 ほんとは望みなんてないがな。
 そこへ来て「たべちゃうぞ」が入ったと。
 他にもっといれるべき歌があるだろうがこの野郎!!
 と、私の怒りをわかってくれる人っているんでしょうかね。
 他にって言ったら、「はるなつあきふゆ」とかさ。無難にOPEDとしてかなりの人に愛されているらしい、「カモメは空を」だっけ?そういうのとかよ。個人的には「ちきゅうともだち」歌いてえよ。
 それとも私が気付いてないだけで既に入っているんですかね?
 ともかくもリクエストしても黙殺だ。
 あの歌だけ別格なのがすごく嫌だ。
 あれがポンキッキだと思われそうですごく嫌だ。そんなわけないが、あれだけがあっちこっちで有名になって、そんで興味持ってポンキッキーズなんて見ちゃったりして、「ああ、ひらけ!ポンキッキってこういうものなんだ」と誤解されそうですごく嫌なんだ。
 大体にして、冒頭のあのアルバム、あの選曲というか数もどうなんだ。
 ────そりゃまあね、手に入らない歌が折角CDになるのだ。入手困難なモノが手軽に聞けるこの喜び。「カンフーレディ」は貴重だろうよなあ。だから「たべちゃうぞ」いれたかったことは許そう。金儲けの一環だったとしても、冒頭のようなことを思ってしまったとしても、持ってない人には朗報(当然私にとってもだ)なのだから、注目を受けたことはラッキーだった。文句言いたいが本来文句言うべき場所じゃない。
 問題は、いれてもいいが、あの十数曲で30年の何語ろうっていうんだということになる。
 カラオケと一緒だよ。
 いれるものは他にもあるでしょうに。
 まず、30年のうち10年がポンキッキーズなわけだが、じゃあ割合でいくなら3分の2がポンキッキの歌でなければおかしくて、じゃあCDの選曲やら数やらの構成は間違いだろう。15曲しか入ってないし。もっとぎゅうぎゅう詰め込めよ。20曲ぐらい入りそうだろ。30に語呂合わせてる場合ではない。
 あれがベストじゃないの。
 ベストの一部なの。あれに入ってないものの方にもベストがあるのですよ。
 「たべちゃうぞ」のおかげで出してもらったことは否めないからそう邪険にもできないが、それでも、私は敢えて言うぞ。
 アレだけ特別扱いしないでください、と。
 みんな正気になれ。
 全部を見ろ、全部。
 もっといいものがあるんだ。CD全集作ってもいいだろう。たかが30曲とか言わず。
 そしてDVDを出せ。

 ────曲表のたった一行からそんなことまで考えた午後でした。
 歌は聞いても、誰もポンキッキを見るとこまでいかないだろうがね。


 その後、橘いずみのとこみたら、あの橘いずみとこの橘いずみの歌の枠がちゃんとわけてあって、「橘いずみ」がきちんと別々に2名いるような表記になっててちょっと溜飲を下げた。
 やっとわかってきたらしい。
 二人は別人です。そこんとこ覚えておくように。
 未だに惑わされてる人はいないと思うが。そしてあっちの橘さんはいい歌作ってます。大好き。


おわり
2004年12月11日

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