ちがいのわからない人たちへ

※不躾ですいません。

 最近なんとなく「おかあさんといっしょ」を見ているのですよ。
 見ると言っても土曜日だけで、まあ週一回しか見てないんだけど、そんでも毎日やってるこたあほぼ一緒なんだろうからそれで充分だろうということで。
 そんで見てるとね、ああ、やっぱ違うよなあって思います。
 ポンキッキとポンキッキーズが違うのは一目瞭然。んで、それらと「おかあさんといっしょ」が全く違うのもまた一目瞭然なのですね。・・・・・・まあそれだって同じもんだと思っている人間がいるのは否めない事実なんだけど、見比べれば明らかに違うことはわかりそうなもんだろうと。
 さて。
 自身も以前一度書いたことがあり、また、語り尽くされてしまった事柄かもしれないが、とりあえず今回はそんな種の話を軸に語っていきたいと思います。
 特に面白い広がりもなさそうなので、小論文とか苦手な人は覚悟してください。


 幼児教育番組の知名度ってどんなもんなのだろう?
 私は私がそういうのを少なくとも好んでいるので、見たことはなくてもタイトルとどんな類のものかくらいは知っている。セサミストリートは見たことがないがどういうものかは知識としてあるし、もちろんポンキッキーズだって見やしないが存在は確認している。
 けれど、全く知らない人ってーのもいるわけです。
 数年前、コミケの隣の人は確実に知らなかった。タイトルはまあおぼろげに知っているが、それについて覚えていることは何もないと。
 またうちの会社の人間(20・40・50代各一名)の反応を見ると、そいつらだって存在は知っているが中身なんて全く知らないと言ってよかった。
 ────「あれだろ?子供が見るやつでしょ?」
 その言葉に殺意を覚えたのは、私が単にもともとそいつを憎んでいるからだけではないだろう。
 また、私が持っているマスコット(数ヶ月前にトップに紹介した、コムサの黒いヤツなんで色が違うからそういうのを差し引きして考えなきゃならんが)を見て、そいつらに対し「ガチャピン・ムック」と名前を言うことが出来なかった。
 ガチャピンの「ガ」の字すら出なかったのではなかろうか。
 そんなことより私の中では、「汚い手でそれに触んじゃねえ」って感情が強くてそれどころじゃあなかったんだが。
 どちらにしろ彼らは「ポンキッキ」という番組名もろくに言えず、また、全国的に知られるマスコットキャラの名前も知らなかったと。
 局地的な、たった3人という情報量から断定なんてできないが、なんだかもう私が考えている何倍もの人間が番組自体を知りもしないんだなあとがっくりしたのでありました。
 知名度は高い。けれど、番組を知っている者は少ない。
 そこで思い返すと、私個人の知り合いも、番組をよく知らない。
 「ポンキッキとセサミストリートのどこが違うのか」
 そんな問いをくらったことがある。
 違うのです。両者は方向性が違う。
 もともとポンキッキとはセサミとは違う方向性でいこうと決めて始まったのだから、同じなわけがないのですよ。
 しかし、違うのだが、私の言葉では説明しきれんところがツライ。きっと見てないヤツはポンキッキとポンキッキーズですら同じものに見えるのだろう。
 すんげえ悔しい気分でね。
 世間様から見れば同じなのかと。
 「みんなのうた」と「おかあさんといっしょの中の歌」が同じって言ったら、きっと双方のファンは怒ると思うのですよ。そんな感覚を抱いて、だからって見てないヤツに説明したってわかんないじゃん。
 だから改めて宣言しとこうと思って。

 全ての番組は全て違うものなのだ。
 
どれも一緒ではない。
 
教育に対するアプローチは皆それぞれに違うのだ。

 同じじゃない。同じ方向性でもない。それぞれはそれぞれに意志と定義を持って、独自の道を切り拓いているんです。なんでわかんないかなあっ。

 ・・・・・・・・・とね、たまに怒りたくなりませんか?
 「おかあさんといっしょ」を見ながら、ぼんやりとそういうことを考えます。
 この番組は私にはすごく懐かしい匂いがする。
 けれど匂いだけで番組自体は特にどうってことはない。子供たちがわらわらと兄さん姉さんの周りに集い、ぽかんとした顔で歌を聞いている。
 番組の半分は歌、4分の一は人形劇(今のとこ「グーちょこらんたん」か)、残りはスポットのようなアニメ(今のとこ「でこぼこフレンズ」「ぱんつぱんくろう」)で構成されている。
 多分ポンキッキと構成という面では似ている。歌とスポットと寸劇たまにアニメ等で構成されていたのだから、似通った部分は確かにある。
 けれど両者の決定的な違いは、世界観の形成の相違にある。
 私の感覚なので、とまあ逃げの一言書き加えときますが────
「ポンキッキ」・・・・・・画面の前の誰かに対し、一心にアプローチを
          繰り返す教育番組。
「おかあさんといっしょ」・・・・・・スタジオそして画面の前のみんなと、
          兄さん姉さんたちが一緒になって遊ぶ番組。

 
塾と保育園くらいの違いがありそうだ。
 前者は子供を置いてけぼりにする潔さがあり、後者はこけた子供へ立ち止まって手を差し伸べる。
 どっちがいい悪いってわけでなく、両者はそういう方向で行こうと決めた。それを好むか好まざるかは視聴者次第ということだ。
 私はポンキッキをとっただけのことで。
 じゃあ両者のどこが似てるのか?何故懐かしい匂いがするのか。なんで今、私は土曜日に早起きしてこんなものを見てしまうのか。ガキがわらわらいるからって理由で見てなかったものなのに。
 考えて、それで、懐かしさに負けたのだと、そう思ったのです。
 本気で懐かしい。こういう雰囲気が好きだ。
 視線が子供に合わさっている。幼児に合わせ、幼児のために番組が進行している。そんな気がしたのですよ。仕方ないじゃん。
 だってポンキッキーズって子供目線に偽装した大人目線だもん。絶対。
 大人が「これはうけるだろ」ってネタを押し付けられてる気がするもん。っていうかバラエティじゃん。私はポンキッキで人生を学んだと言うのに、あんなのじゃ学べないよ!ちきしょう。
 そのあたりどうなんだこの野郎。
 ────と。
 まとめるとね。
 全体通して似ているのは視線だよな。
 好き好んで見ない人にはその匂いだけが伝わってるんじゃねえかなあ。同じ匂いがすれば同じ種類のものだと考える。当然だ。仕方が無い。
 しかし本質は匂いの奥の方向性で、方向性はそれを好きで見ている者にしか見えてこないのかと、思ったりしたのです。特撮ものだって「五人戦隊」もありゃ「仮面ライダー」もあり昔はもっといろいろあった。知らん人が見りゃ同じものだがそれらはやはり何か違う。
 そういうもんだ。
 だからとにかく知らない人は「同じじゃん」とか言わずに、一度双方を真剣に見てわかって欲しいなあと思うのです。そして私に対してだけは「同じだろ」とかいわんでくれ。ムカつくから。
 全く知らない人にはもうどうしたって無駄なんだろうけどさ。
 そりゃあねえ・・・いい年こいた人間が、ポンキッキ好きでこんな活動しとるとは思わんわなあ。
 「おかあさんといっしょ」を見る土曜日、いろんなことが脳裏に現れていくのでした。



 とかなんとか支離滅裂に考えますが、結局なんで見てるかって「でこぼこフレンズ」「ぱんつぱんくろう」もしくは「あっという間劇場」が見たいからだ。スポットが好きなんだ。
 ぱんつぱんくろうの便器さんはたまらんですよ。
 あの便器欲しい。
 そして、ひろみち兄さんのすげえ体さばきを見たいから。
 ファミリーコンサートオープニングの登場の仕方はすげえよあいつ。
 妙に心に残る兄さんです。好き。
 もう1人の方は胡散臭い。髪の毛とか。笑顔とか。好きでやってねえだろって思う。
 他の歌等はまあどうでもいいや。兄さん姉さんしか歌わねえし、おもしろいのもあるけどインパクトに欠けるんだよな。勿体無い。
 今後も朝起きられれば見続けるかもしれん。
 なによりあの空気がね、たまらんですね。
 同じでないけど、こういうのが残り続けてくれることが嬉しい。
 そういうことが言いたかったのかな、私は。

おわり

2004年4月18日
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