一時代を担った黄金の歌声
──のこいのこは認めるけどさ・・・──

(以下敬称略)
 唐突ですがのこいのこについて一つ書こうということになりました。
 昨年「ぶんけかな特集」をやったんだけどそれと同じようなものと思ってください。基本的には違うがな。
 何が違うって、歌い手に対する私の姿勢が違うのよ。
 ────というのも。
 ぶんけかなは番組放映中からずーっと気になってて、それはむしろ「私、ファンじゃない?」と認識するほどのレベルに達してて、しかもあーいうことが判明したものだから更に思い入れが強くなり、今自分が読んで「何こいつこんなに熱くなってんの?」と冷静につっこみいれるくらいのモノを書いてしまってんだよな。
 対してのこいのこというと、実はさー、そこまでの思いはないんスよ。
 ずばぬけた持ち歌があり、長く支持されてきただろう彼女の声は確かにいいとは思う。もともとやろうと思ってたんだから今こうして考えてるのも自然の流れではある。しかしここまで取り掛かりが遅くなったのは、下記にも言及する通り「熱い思いの欠如」なわけだったのだが────まあ、いいじゃないか。
 のこいのこ嫌いは認めん!ってお方も、どうにか気持ちを押さえて読んでみてください。
 私なりの妄想と研究の結果です。

さて、んじゃ一応知ってる限りの曲をあげていってみよう。

1.いろいろばなし・・・未確認
2.おなかがいっぱい
・・・天丼カツ丼等々、とにかく食べ物を羅列していく歌。画像がミスター味っ子のオープニングみたいでイカす。
3.オレンジかぞく
・・・未確認
4.ドラネコソラシド
・・・未確認
5.ニュートンファミリー
・・・豚の家族がシェイプアップをしてる・・・のか?
6.のりたいでんしゃはしるきかんしゃ
・・・いつもの乗り物歌
7.はじめましてのアイウエオ
・・・未確認
8.パタパタママ
・・・一昔前の専業主婦をリアルに描く怪作
9.はたらくくるま
・・・第1弾。くるまシリーズの輝かしい歴史はここから
10.ハッスルばあちゃん
・・・未確認
11.ヒポポタマス
・・・未確認、っていうか・・・河馬?
12.ブカブカパジャマ
・・・未確認
13.まる・さんかく・しかく
・・・それぞれの宇宙人の苦悩を描くが、解決してやれよ。
14.もものハート
・・・スポット用だと思うのだが。これは好き。
15.このみちどんどん
・・・ガチャピン・ムックのプロフィール紹介。
16.おすもうたいそう
・・・未確認。ドスコイの前身なのか?
17.おばけのうた
・・・未確認
18.ヤセタンとコロンタン
・・・未確認。どうも雰囲気ではヤセとデブは今日も仲良しって感じしない?

 以上18曲となるわけなんですが────ね?わかりますか?
 私、18曲もあるのに8曲しか知らないんですよ。半分以下ですよ。いろいろもらわなければ6曲がいいとこですよ。なんだよそれ!なんで私こんなに知らないんだよ!天下ののこいのこだぞ!!・・・・・・と自分に喝いれつつ考えてみたんですけどね。
 この事実が指し示すことってさ、要は「のこいのこは昔の人(少なくとも私が熱中していたラスト5年より前の人)」ということではないだろうか?
 何を今さら、と思われる人もいるだろうが、これって重要なことですよ。
 私が見てない時期に新曲を濫発した彼女の歌を私が少なくとも3分の一は知っている。これは一重に「いい曲はいいのだから繰り返し使うべきだ」という漢らしい選択を何の躊躇もなくやってのけたスタッフの心意気のおかげであり、また、古い古い歌を使っても「これって昔のじゃん?」と思わせることのない良質の音楽を作り上げた作り手の勝利なのだよ。
 どの歌が何年の作かはちょっとわからないので(調べろよ、とかいう意見は聞かん)、声の変化とかを解析することはできんが昔の歌も良質であれば語り継ぐことが出来るという一例と言えよう。
 さて。
 そんじゃ所有する音源を聞いていってみよう。
 持ってる人は一度聞いてみてください。あー・・・、私は聞きませんが。だってこいつの声、妙に耳に残るから聞かなくても思い出せるもん。
 一連のものを聞いてみて思うのは、「この人は幼児番組にピッタリの人」ということ。
 ピッタリというか、安心して聞ける人というか。
 歌は勿論「歌詞」「曲」で構成されているわけだが、曲はまあ勝手に聞こえてくるけど歌詞は注意してないと聞き取れないことが多々ある。フツーに売り出すフツーのアーティストの曲においては別に完全に聞き取れなくても構わないだろう。っていうかファンだけ知ってりゃいいじゃんと思う。
 しかしポンキッキという、未だ曲に対する嗜好が微妙に確立しているかどうかわかんない不特定多数の幼児全員を対象にした番組においては、歌詞の聞き取りって重要なことではないのだろうか?いや本当のことは知らないし、どうせ下に歌詞出てくるから完全に聞き取れなくてもいいんだろうが、「言語発達」の見地からしても「聞き取りやすい声」ってのは必要なのだと思うのですよ。
 英語を勉強するとき英語の歌って教えられません?
 ラジオ基礎英語でも毎週土曜日には英語歌を題材にしてません?
 日本語だって多分同じさ。歌聞いて国語学習するなら、聞き取りやすいにこしたことは無い。歌詞のテロップとあわせれば読みもできるしいいことだ。
 例えばポンキッキの曲を宇多田さん歌ってもいいけど、なんか聞き取りづらそうじゃない?
 翻ってのこいのこ────なんていい声をしてらっしゃるんだ(笑)!!
1.明るい
2.はきはきと括舌がよい
3.のびがあり気持ちよさそう
4.聞き取りやすい
5.どことなく完成されている
6.故に安心して聞ける

 これがのこいのこをポンキッキソングクィーンたらしめた理由ではないだろうか?違うのか?
 これら「はきはき」とか「括舌」とか「のび」とかいうのが如実に表れるのが「おなかがいっぱい」や「このみちどんどん」だろうと思う。もしかしたらこれらは後期の作品じゃないかとすら思う。当たり前だが後期になれば声もさらに安定してくるだろうから、って理由なんだけど結局全部聞いてないからなんともいえないわけで。
 ぶんけかなの曲の大半は知ってるけど、この人は半分だもんなあ・・・そういうのも「あまり熱い思いないし」の理由の一つかもしれません。
 で、思い入れの少ないもう一つの理由が────
 「この人の持ち歌に好きな曲がない」
ってのが、実は、あるんですね。ほんと。すいません。ポンキッキ好きとしてのこいのこは避けて通れない、むしろ避けれてたらすげえ、という部類の話なのに好きな曲がないって大変ですよ。
 いや嫌いなわけじゃないんだけどね。
 例えば「はたらくくるま」
 私、この曲嫌いなんだって!!
 どこかで書いた気がするが、おんなじ曲調でおんなじことを3番までずーっとやってるのって、私としてはつらいんですけど。しかも第3弾まであるわけじゃん?1度や2度ならまだしも、いい加減飽きるって。好かれているからの再放送だとはわかってんだけどなあ・・・。
 しかも3つ続けて聞くと肯定できるのは、「同じ曲に聞こえるけど毎回編曲してあるから実は違う曲調になってるじゃん」という微笑ましい事象だけであって、声的には「はたらくくるま2」の子門真人が一番良いわけで、のこいのこいいとこなし。
 で、「このみちどんどん」
 2匹の妖怪のことがわかったので感謝したい歌です。しかしそれ以上のことは・・・・ごめん。ないです。
 「パタパタママ」としては。
 実際、あの絵ってOKですか?
 曲としては特にどうということはない、別にいいのではないかと思うんだけど、あの絵が・・・アフロなママの姿が・・・そうだよ、ぶっちゃけ気に喰わねえんだよ!悪かったよ!全然のこいのこには落ち度ねえじゃんよ!
 好きさ!パタパタママのママがアフロでさえなければ────と考えてみて、あれ以外の可愛い系の絵とかだと曲に合わないんじゃないか?実は、と今まさに思えたんでやはりスタッフはすごいなあと思いました。
 やっぱスタッフの勝利だ、この番組。
 「まる・さんかく・しかく」はいい感じ。はきはき声がヒートアップしても宇宙人の苦悩は何一つ解決しないという、素敵な袋小路に入るところが魅力。っていうかしかく人はタイヤを丸くするという概念を作ればいいと思うのだが、そもそもあの星に「○」はないから思い至らないのか。
 深いなあ、この曲。
 とかまあ、いろいろあって結局考えてみればのこいのこには全く落ち度がないことが判明しました。
 私に対して曲に恵まれなかった、というただ一点で「すごい人だけどいい曲なし」と思われていたらしい。好きになるように頑張ってみよう。
 ────などと。
 考えていたところにただ一曲、ものすごいいい歌があることを思い出した。上記してるけども、「もものハート」(本当にMDくれてその節はありがとうございました。こうして役にたってます。ありがとうございます)ってやつ。いやこれスポット用だという記憶がなきにしもあらずというか、一度聞くとのこいのこの声に聞こえんことがすごいというか、こういう歌詞知りません?
 大きな青い空の下小さな緑の木が一本木が一本
 小さな緑の木の中に丸い産毛の果物一つ果物一つ
 丸い産毛の果物の中に甘いピンクの実が一つ
 甘いピンクの実の中に硬い茶色の殻一つ ひとつ
 硬い茶色の殻の中に白い小さな種一つ種一つ
 白い小さな種の中に桃のハートがただ一つただ一つ
 丸い産毛の果物の中に甘いピンクの実の中に
 硬い茶色の殻の中に桃のハートがただ一つ ひとつ

 1フレーズごとに音階が高くなっていくんだけど、のこいのこと言われればそうともとれるけど、普段の曲調と少し違うからなんか違う気もするという新鮮な歌なんすよ。
 これは好きというか、いい歌だと思う。順を追って視点の小さくなる表現、種の中のハート、そして「ひ・と・つ!」って歌い上げるのこいのこ。惚れ直した。画像が欲しいよう。
 ────というのが、私がのこいのこに対する思いです。


 そして、のこいのこに関連して一つ。
 窓花さなえという名前に親しみはないでしょうか?
 「はたらくくるま3」「2100ねんガチャピンキッド」「きた!きた!とっきゅう」などを歌っている人なんですが────この人の傾向が本当にのこいのこそっくりだと思うんですよ。
 私が気に入る曲を歌ってないとことか(笑)。
 はきはきして伸びのある声、聞き取りやすくアップテンポな曲が多い。
 ポンキッキ終盤に現われ、短い期間にけっこうな確率で歌を出してたけど期間が短かったからかそこまで多くは残してないというのが悔やまれる人。
 この人は次期のこいのこになるべき人だったと思いませんか?
 むしろそうなりつつあったのに時代がそうさせてはくれなかった。
 あとせめて5年続けば、彼女も「パタパタママ」みたいな代表曲を残したと思いますね。まあガチャピンキッドが代表っていやそうかもしれんが。
 とゆーことで。
 窓花さなえについてはまたどっかでやろうかな。
 いや今回、ほんと、駄文な感じですいません。

2002年7月13日
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