生活に活かそう!〜ポンキッキ的学習システム



 テレビ見てて知ることって多いと思いません?
 小説・漫画にしてもそうですが、別段教科書やおかたい参考書の中でなくとも、ためになるっつーか勉強になることが描かれてることは多い。
 むしろ、漫画の中に使われているものの方が、何故か長く覚えていられるものではないだろうか?かの「特命リサーチ200X」でも記憶と脳の関係についていろいろ調査して何故そーいうことになるのか説明されていました。なんか記憶をつかさどる海馬の神経ネットワークがとーのこーのとかそーいうの。
 でもまあ、そうした科学的問題はおいといて、とかく娯楽媒体から学ぶものは身につきやすい。
 とある漫画で、「私を信じなさい」の日本語の横に「trust me」とルビふってあって、その英単語を完璧に覚えるに至りました。私は「trust」という単語は一生忘れないでしょう。皆さんにもそんな経験はないですか?
 結局のところ、そーした人の習性を使って、教育番組は作られるわけですな。
 教育テレビの番組をたまにみます。最近はCGなんか使っちゃって、図解とかがわかりやすいのかわかりにくいのかもよくわからんが、とりあえず視覚情報に訴え、テレビというなんだか楽しそうな響きのモノを媒介して勉学にいそしむことは、記憶するという目標においていいことのように思われます。
 さて。
 じゃあポンキッキではどうだったのか?
 勿論行われていたさ。
 ただし、この「教育」と躾としての「教育」は混同しないでいただきたい。
 何度も言って鬱陶しいだろうが、ここは一つ、そーいうスタンスのコーナーですので。


 例えばABCの歌ね。国際化が叫ばれるようになった時期、ポンキッキとしては晩年期に何度か流されてましたよ。それも普通のABCでなくラップ調でした。振り返ると、英語の歌をよく流していたように思う。憎きガチャピンがアメリカを豪遊したりすることもあったが、大体のとこ歌で英語の勉強はやってた。
 「ヘーッド・トゥースニードざトゥースニードトゥース」とかなんとか、体操っぽいのもやってなかった?頭・膝・足をなんか順番にさしてたりして。「からだげんき?」の英語版かい、と少し思う。
 さて、そんなポンキッキですが、すでに幼児ではなくなっていた私に、いくつかのことを教えてくれました。もっといろんなことを教えてたのかもしれんが、深層意識に訴えているのかあまり記憶にゃないです。
 もろに参考になったのは中学時代に見ていたときの話だったか。
 受験英語で「in the morning」という英熟語があるのだ。「朝に」「午前中に」という意の本当に見たまんまの意味なんだが、試験にでるっちゅうか塾の暗記テストででることになってて覚えねばなるまい。そのテストは何がでるのかわかってて、指定された日本語を英語に直せというただそれだけのものだった。
 その中で「私の母は朝早く起きます」というものがあった。英訳すれば「My mother gets up early in the morning.」となる。
 ところで、なんかポンキッキ内で毎朝のように流れていた英語の歌で、すごく印象的なものがあった。全体的になんといっているのかわかんないし、むしろ今となっては忘れてしまったのだが、1フレーズだけ忘れずに覚えている。
 それが、「early in the morning」というフレーズだ。
 「なんちゃらかんちゃらearly in the morning」という歌がその頃は嫌でも頭ん中をかけめぐってた。大体にして、「early〜」のフレーズ、歌の中で多用されすぎだった。なんか朝早くから少女がなんかしているという内容だったと思うが、もー、その単語で頭がいっぱい。テストに出題されることになったとき喜んだものだ。これほど簡単に覚えられる文章があっただろうか!いやない、という感じで。
 で、他に参考になったというか、初めて知って感心したのは小学校んときだったか中一の頃だったか。
 もえみ姉さんの頃、姉さん兄さんガチャピンムックの全員で沖縄にいったことがあるんですよ。兄さんまで参加しているところがミソ。全員でスタジオを離れて行動するのってそれくらいしか記憶にないからすごいことだぞ。
 で、沖縄に夏に行ってんですが(夏休み中の出来事だったし)、夏っていったらやっぱ暑いじゃないっすか。沖縄だし、まがりなりにも。
 で、北国生まれのムックはばてばてなんですよ。いつものことだが、「暑いですぞ」「おなかすきましたぞ」と言ってはみんなに「しょうがないなー」と言われていた。仕方ないじゃないか!北極生まれなんだぞ!多分。
 で、結局ムックは何か美味そうな匂いに引き寄せられて皆からはぐれ、一人パイナップル園に辿り着いた。
 そこのおじさんがムックにパイナップルをご馳走してくれるわけ。とれたての、今から皮むくやつを。
 で、どーやって皮をむくのかなあってみてたら、きちんと説明してくれましたよ。
←図解・パイナッポーの剥き方。
 まず、葉の方と一番下の方、それぞれ切っておく。そうしたらまな板の上に立てて置くことができますよね。それを立てておいてから、皮の部分を縦に向いていく。極端に言えば端を切っていくという感じだろうか。そうやって皮がむけたら、輪切りにしてムックに与えていた。
 なんかこれが正式な皮の剥き方なんだって。勉強になりました。
 でもね。
 もっと衝撃的なことあるんですよ。それがいわゆる────
 「こ」と「い」の違いさ!


 これはもうすごく古い話。15年は前……いやもっとかもしれない。
 これすごく好きだったんですよ。ミニコーナーの一種みたいなもんで、たまに放送されてたけどいつのまにか見なくなった。ポンキッキの中でだったと思うんだけど。
 とりあえず、草原があると思ってください。そこに一本の木があって、根元にひとが寝ています。穏やかな色合いで、イギリスの片田舎を描いた絵とでも申しましょうか。
 そこに一人の女が現れます。紫っぽいワンピースを着た人で、顔は「顔」として描かれてなく、ただ一文字「母」だか「は」だかかかれてました。
 で、その人、
 「こー!こー!」
と叫びながら歩いてるんですよ。子供を捜してるらしいんですね。

イメージ図としてはこんな感じ。

 で、木の下にいる人を見て母は立ち止まります。
 「あ、こ!」
 「こ」だと思って寝ている人に近寄ります。するとその人はめんどくさそうに起き上がり、こういいます。
 「違うよ、僕は『い』だよ」
 ────そう。寝れば「こ」に見えるが、普通にしてれば「い」なんだよな、その人。
 母は「そうですか」って感じで落ち込んでまた「こ」を探しにいきます。でもやっぱりまた同じ場所に帰ってきて寝てる人を見つけて
 「あ、こ」
 「違うよ。僕は『い』だよ」

という会話をする。そんな会話3回くらいしたでしょうかね。結局最後には「こ」は見つかったんだっけ。よくわかんないや。
 とりあえずその、「い」のリアクションが強烈すぎて、あとのことはどーでもいいよ、ってくらいの印象があるんですわ。
 いや、こんな強烈なもん見せ付けられたら嫌でも「こ」と「い」の違いがわかってくるがな。すごいぞこの妙なアニメ作った人。
 今でもたまに思い出します。「違うよ、僕は『い』だよ」を。 


 結局のとこ、強烈な印象をもてれば覚えてしまうってことですよね、なんにしても。
 「early in the morning」にしても、やたら毎日同じフレーズを数分の間にあんだけ聞かされりゃ覚えるわそりゃ。
 パイナップルの話はまあ、なんというか、ムックの食べ物に対する情熱?を間近で見た瞬間でした。私はまだこの頃ムックのことがあまり好きではなかったの記憶してますわ。またこいつ集団行動乱しやがって、くらいにしか考えちゃいなかったでしょう。
 やたら食い物の話ばかりする赤い妖怪は、ちょっと小さい者の心には厄介者にしか映らないようで。申し訳ないなあと今更思う次第です。
 まあ、ポンキッキのこうした学習システムは結局のとこ成功してたってことっすね。
 見ている私がとりあえずこんだけ記憶に残してるってことは、本当にそのとき幼児だった子供とかにも同じ記憶を残しているはずで、気付かない間に深層意識にもいろんなものが刷り込まれているに違いない。躾話も含めてな(怒)。
 そんなこんなで、強烈な「こ」と「い」の違い、これから先子供に教える機会でもあったら活用してみてください。
 「僕は『い』だよ」。
 ぷっ。
 最高だわ、これ。


終わり

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