第7話   ジェームスの脱線

出演/トーマス ジェームス
    ゴードン ヘンリー

 毎朝、ハット卿は駅を訪れトーマスに「お前の仕事は大切なんだ。貨車にからかわれないようにするんだよ」とかなんとか声をかける。トーマスは操車場で貨車や客車を集めて回る仕事をしているからだ。操車場にはいろんな車両があって、機関車も持ち上げることのできるクレーン車も置いてある。
 ある日トーマスが働いていると、遠くから機関車の叫び声が聞こえた。
 「貨車が押して止まれない〜」という叫び声とともにジェームスが走り去っていく。そしてそのまま脱線してしまったらしかった。
 クレーン車を持っていくことになり、トーマスは「なんてひどい貨車たちだ。可哀想なジェームス・・・怪我をしてなきゃいいけど」と友情いっぱいに頑張って重いクレーン車を押していった。
 ジェームスは動けなくなっていて、機関士たちは怪我がないか見て回っていた。
 「気にするなジェームス、馬鹿な貨車と古いブレーキのせいなんだから」
という言葉が唯一の慰めだ。
 トーマスはぶつぶついう貨車たちを何往復もして移動させ、クレーン車で引き上げられたジェームスを引いて機関庫に戻ってきた。
 駅につくとハット卿が待っていて、トーマスの今回の仕事ぶりを褒め称えた。
 ジェームスは修理し、トーマスには働きぶりの褒美に支線をプレゼントしようというのだ。
 トーマスはアニー・クララベルという客車をもらい一日中支線を元気に走っている。
 もう彼は一人ぼっちではない。駅でみんなに会ったときにニュースを聞いたり合図を送りあったりしているのだ。

[総評]トーマスの支線登場というこれも重要な一話。そんな支線とか大事なものなのに、「すごいから褒美」と簡単に分け与えるハット卿の太っ腹さも特筆すべきだ。
 まあ彼は飴とムチだしな────今回は飴だっただけだが。


第8話   ジェームスのあやまち

出演/ジェームス
   トーマス エドワード

 ジェームスは客車も貨車もひける特別な機関車だ。前回の失敗なんか気にすることないぞ、というハット卿からの言葉をもらう。彼はここで楽しく暮らしているけれど、まだ覚えなければならないことがたくさんあるのだ。
 エドワードから客車の扱い方について聞き、二人で客車を引いていくことになっていた。
 駅に入るとお客がジェームスを見て「立派な機関車だ」と噂しあっている。
 それが嬉しくて彼は蒸気を噴き出したが、やりすぎてハット卿の帽子を濡らしてしまった。
 怒られる前に出発し、トーマスのいる駅を通過、旅を終えて休憩した。ハット卿の帽子が気になっていたが、案の定帰ると叱られてしまう。
 「お行儀よくしないとボディを青く塗り替えてしまうぞ!」
 ジェームスはむくれた。客車を乱暴に扱う。
 「青いボディなんて嫌だ。青いのはゴードンだけで十分だ!」
 すごい理屈だ。
 「客車をひけるのはゴードンだけじゃないんだからな!」
 彼は怒りながら出発した。スピードを出し、客車をぶつけながら乱暴に先へ進む。
 すると突然止まってしまった。どうした?と調べると、ジェームスがあまりに乱暴な走りをするのでブレーキパイプが壊れ穴があいてしまったのだ。
 新聞紙と靴紐で修理しよう、という提案に靴紐はどこにあるんだ?という反論。
 乗っているお客から調達することにしました。
 「お客さん、靴紐を貸してください」
 「断る」
 紳士は断った。そしたら
 「それは残念だ。でしたら汽車は動きません」
他の客からぶーぶー文句が返ってきてしまい、紳士は仕方なく靴紐を提供した。
 穴に新聞紙をつめ靴紐できつく縛って出発する。
 ジェームスは反省した。もう、客車をぶつけることはないだろう。

[総評]今後何回か話に引っ張り出される靴紐事件の全容でした。
 何がすごいって、機関士たちの客への態度だね。ジェームスはもともとあまり性格はよくなくてこんな話はざらにあるから驚くことじゃないが、機関士の紳士への対応がなんか────ソドウ島って感じだよな。
 あと、ハット卿も帽子が濡れてぐらいで怒んなよ。


第9話   厄介な貨車たち

出演/ジェームス トーマス エドワード

 ジェームスはここ最近貨車も客車も押していない。勿論前回の「靴紐事件」の罰だ。
 「あーあ・・・もう誰にもこの赤いボディを見せられないのかなあ」とかがっくりしているところにハット卿がやってくる。
 「随分と反省してるようだな。どうだ、役に立つ機関車になりたくなっただろう。住民も儂の鉄道を笑っている。まったく気に入らん」
 「これからは一生懸命頑張ります」
 「うむ。それじゃ。その決意こそが大事なんだ。どうだ儂のために貨車を引っ張ってくれんか?」
 「はい!!」
 嬉しそうに彼は走り出した。
 トーマスが貨車を持ってきてくれたが、案の定「靴紐は持ったかい?」と馬鹿にされ、貨車たちも赤い乱暴者はいやだと抵抗した。
 ジェームスは無視して出発した。貨車たちのいたずらで故障することもあったが、そのたび修理し再出発をするということを繰り返した。彼はへこたれなかった。
 「絶対にやってみせる!」
 ゴードンの丘にさしかかった。機関士が「貨車たちに気づかれないように早く抜けよう」と声をかけ、彼はあっという間に半分ほど上りきった。────その時突然体が軽くなった。
 やった!と喜んだが、単に貨車の連結が外れて半分くらいが下に下りていっただけだった。
 こっちに向かっているエドワードに危険を知らせ、ジェームスは下まできて連結しなおす。
 手伝おうか?という申し出に一人で頑張れるさと言い彼は再び丘を上り始めた。
 「僕はやれる。やれるぞ」と唱えながら彼はゆっくり着実に丘をのぼっていった。成功したのだ!
 駅につき彼が休憩しているとエドワードがやってきた。「すごいね」と誉める彼の後ろからなんとハット卿が降りてくる。やばい・・・お小言をもらうぞ────とびびったがそうではなかった。
 「儂はエドワードの客車にのって一部始終を見ておった。お前は一番骨の折れる仕事を見事にやってのけた。今後もその赤いボディに恥じぬよう頑張ってくれ」
とお褒めの言葉をいただいたのだった。

[総評]この回って改めて見ると「機関車トーマス」の縮図だね。
 前向きすぎる機関車と、(私的に)理想の上司NO.1のハット卿の突き落として持ち上げるこの弁舌の巧みさ。怒ったあとに部下のやる気を起こし、そして最後には誉めてこれからも期待していると言ってのける。これはやはり上司というか子育ての極意というか、なんかすごいよねハット卿。ただの金持ちじゃなかったよ。
 あとはやっぱり、ゴードンの丘は大変っていうことさ。


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