設備投資について考える。
さっきから維持費維持費と唱えているが、本当に何かを維持するのは難しいものだ。
それがなんであってもね。
手っ取り早く、車を維持するのって大変でしょ。走るには燃料がいるし、きちんと走らせるにはメンテしなけりゃならない。税金もかかる。とりあえず最初に銭ありきですわ。
だからハット卿の鉄道もいろいろ揃えてあそこまで発展するのに莫大な財産を注ぎ込んでいると思うのですよ。数代にわたってこつこつと作り上げてきた鉄道王国。
でも設備の増大に私財を投入することはないだろう。まあ、会社自体が私財だと言われればおしまいなんだが、創業期なら身を削って会社を立ち行かせようと頑張らなければならなくて財産削っていったとしても、創業期→安定期に入っれば私財じゃなくて営業利益からひねりだすさ。
企業の売り上げは勿論それがそっくりそのまま利益になるわけではなく、給与だとか様々な経費や仕入れをさっぴかれていく。だから鉄道会社で言えば鉄道の維持管理が必要経費の大半を占めると推測してもおかしくないでしょう。というわけで、設備投資ってことになるんだけども。
小さな工場とかになると毎年毎年機械を買い換えているわけにはいかない。毎年設備投資で機械を増やしたりしてたら倒産だ。
翻って、鉄道は毎年毎年設備を増やして客がより安全に快適に利用できるようにしなければならない。
ならないっていうか・・・・・・路線のメンテとかね、やっとかないといけないでしょう。やんないと事故になって、投資以上の損をすることになるはずだ。
その工事には目的によって大きく分けると、輸送力補強工事(駅の改良・路線新設・踏切等保安工事・信号通信施設の向上とか)、サービス改善工事(施設整備・車両等の冷暖房化)とかがある。
民間鉄道でもJRでもそうだがこーいう工事はずっとやってる。
都市の混雑緩和を目的とし整備を繰り返しているということだ。
手元の資料によると2000年度大手民鉄15社は総額2565億円の投資を行っているらしい。1社183億ですか。金なんてあるとこにはあるんだのう。・・・いや、大手なんだから普通か。
その中で一番多くかかっているのが路線の保安工事。
維持ですよ。維持にはやっぱ金がかかる。線路が長けりゃ余計にかかるよね。
でも、この例はやっぱり極端な例だ。
大手民鉄は大都市圏にある。だからこそのこの金額。
ソドウ島は人が少ないから、この金額をそのまま持ってくることはできないだろうなあ。
まあそんでも実際のとこ、島のいたるところで工事は行われているんですよ。トンネル工事、橋の補強工事、線路の補修、新しい駅も作るし港だって作る。ハット卿グループとしては観光地開発もするから、そこへ繋げる路線新設も欠かせない。
その関係で私が確認した一番大きな仕事は港の工事でしたね。ダックとパーシーが(ということはその乗務員が)、休みなく働く姿が何回か続いてました。あまりに大変で、ハット卿がディーゼルを連れてきて、一騒動というより一つの事故を起こし、手伝うというより迷惑をかけただけで去っていったディーゼルの姿は忘れません。
他にも橋の工事(33話「おくれるのもわるくない」より)とかあったね。工事中だからそこは徐行運転しなくちゃいけなくて、支線のトーマスが「遅れんなよ!」と文句ぶーぶーだったな。
もし普通の道路もハット卿の管轄なら、でこぼこな道をタールとかで直している(55話「信じられる機関車」より)という噂話もあったっけ。
トンネル工事中(106話「トーマスとうわばなし」より)の場所にゴードンが突っ込んだこともあったなあ。
ゴードンは更に、新しい駅(92話「ゴードンのまど」より)の式典に出席しようと走っていたらブレーキが突如きかなくなり、駅を突き破って体半分突き出した、という逸話も持っている。その壊れた壁には窓を作り、そこは以来「ゴードンの窓」という厭味な名前がついたがそれは今は関係ない無い話かな。
ものすごいのは、「トーマスの支線の線路が、太陽熱でぐにゃりと曲がり、そこを通ろうとしたトーマスが脱線した」という話。こーいうことがあるから、日々線路の状態をよくしておかなきゃならないんですよ。・・・・・・いや、こういう事態を予想しろって方がどだい無理な話なのかもしれませんがね。
んで考えてみると、ハット卿はちゃんとこうして設備投資をしている。
してるけど────その順調な設備投資に横槍いれるヤツがいて、それが彼の機関車たちみたいなのだ。
せっかく工事しているのに突っ込んでくるし、完成したと思ったら壊すし、臨時雇いのディーゼルは何の役にも立たないし。
だから、設備投資をする金額と同じくらい(それ以上ではあって欲しくないなあ)、機関車たちの事故の後始末に割かなければならない出費があるんじゃなかろうか?
穴に落ちればクレーンで引き上げる。そのクレーンがハット卿の持ち物ならまだいいが、どこかから借りてくるとなると莫大な費用がかかる。機関車でひっぱる、というのは安上がりに見えるが、後始末に借り出された機関車たちの仕事はそれだけ遅れるし急行の一本くらい運行中止になっているかもしれない。それだけでものすごい損害だ。
普通鉄道の事故といえば、まずは踏み切りでの事故があげられるだろう。車が立ち往生したとか突っ込んだとか、民間人との接触が最も多い部分であるからそれは当然の話だ。
あとの原因にしても線路内に誰か入ってきたとか(人身事故っすね)で、それらひっくるめて全体の7〜8割を占めている。鉄道員のミスはJR民鉄合わせても3%をきる程度だ。いや、それこそあってはならない事故だが、ソドウ島との違いはどうだ。
はしょられているということを前提にしても、とりあげられる事故で踏み切りでの事故っていうのは皆無だ。踏み切りで貨車が立ち往生したことはあるが、それは事故ではないだろうし。
ソドウ島では大概、機関車のマンチキな態度が起こす失態か、鉄道職員の居眠り等で巻き起こるミスが多い。どれも怪我人が出ていないということが奇跡のような話だ。
もし踏み切りの事故で一般市民に過失責任がある、というケースなら鉄道会社にすればマシな話だが、ここの事故は全て会社の責による。
突っ込んだ家をなおし、脱線した機関車をつりあげ、壊れたところを直し、ペンキを塗り替え掃除する。
貨車はよく壊れるから新人の補充も重要だ。
設備投資しつつ機関車の後始末に投資する。
こんな効率の悪い出費ばっかでハット卿は破産しないのか?それ以上の収入があるからいいのか?どうも前回考える限りおいてギリギリだった気がするが・・・いいんだろうなあ、やっていけてるんだから。
とりあえず彼は、線路を直すよりもまず、幼稚園児レベルにある機関車たちの性格矯正への設備投資を行った方がいいんじゃないか?と思いました。
それと職員の勤務態度改善のためになんらかの策を施した方がいい。いやむしろ、そっちのが重要か。
なんつっても、やはり機関車を動かすのは職員なんだから。とぼけた奴らばかり採用してないで、できる人をきちんといれた方がいいよ────と考えつつ、この島の住人全員とぼけてるしなあ。
まあ、とりあえず、機関車の教育と職員の勤務態度改善。それが今後のハット卿鉄道を快適にし繁栄させていくための近道になると思うよ。
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