鉄道の規模とトップハムハット卿の資産予測
ハット卿は金持ちだ。
勿論、島一番の大富豪だと思う。
ソドウ島の全ての機関車を統括するということは、働いている数多い駅員や機関士たちを食わせてやっているということを意味する。
所有する機関車は20台に近く、貨車や客車は数え切れない。いや、客車に関して言えば数えられるだけで10台くらいはあると思われるが、それ以上はないと特急を何本もこなしたりとかはできないだろう。貨車だってその何倍もの台数があるはずだ。作業場は4箇所は確実にあるし、それぞれに所狭しと貨車が並べて置いてあるじゃん。
とりあえずこれだけの設備を揃えるだけで莫大な金がかかるうえ、機関車や作業員、果ては路線の維持費も考えると気の遠くなる金額が予想される。
まあ、例えば港にいる貨車はどこかの水産会社のものかもしれないし(でも港を作るぞと言い出したのはハット卿かもしれない)、鉱山はハット卿とは別口の資産家の出資で、貨車はその人の持ち物かもしれない。けれども結局働いているのはハット卿の機関車だ。その辺りの維持費はやはりハット卿負担となるだろう。
ここで、私が勝手に推測するハット卿鉄道の総距離だが、前述の通り島の規模を東西80km、南北50kmとして計算してみたい。
そこで本線は90km、トーマスの支線25km、エドワードの支線20km、鉱山鉄道25km、ダックたちの視線15km、とすると総距離は175kmにもなる。
主なものだけでこれだけの距離があるのだ。他にも、ビル・ベンたちの石切り場への路線、ピーターサムたちの鉱山への路線、新しい駅への路線、観光地発見による新しい線路の敷設を考えると少なく見積もっても総距離200kmは軽く超えることになるだろう。
もし私の予想より島が小規模だったとして、総距離が半減するとしてもその分人口は少なくなるだろうから、経営が困難になるのではないか?────と思わないでもない。
というのも。
JRで比較しても路線の距離でかなわないから、各地方の私鉄のデータを探してみたんですよ。
するとですね、200kmクラスを保持する私鉄って少ない。ほんとに。
都会なら────東京の営団地下鉄とか?それなら200に近いけど、正式には177.2km。また関係ないけど、広島の広島電鉄鰍ナ34.7km。福岡の西日本鉄道鰍ヘ155.7km、西武鉄道鰍ナ176.6km。その他のとことかって、更にキロ数少なかったりするんですよ(まあ名鉄・近鉄あたりはかなり長くなるけどね)。
しかも、ここに並べた数字だって、県庁所在地だとか、結局人が密集するところに集まっているはずなんだよ。営団地下鉄は言うに及ばず、福岡だって大都市だし、言っとくが広島の山奥になんて私鉄走ってないもん。
何故かってそりゃ勿論採算があわないからで、JRだってバスだって、人の少ない地域は採算合わないという不合理な理由で、路線も本数も減らしてくじゃないですか。
つまるところ、人のいないとこに線路作っても仕方ないっつーことですわ。
勿論そりゃ乗客がいるからこその鉄道ってこと。
営団は一日一キロ平均、250,935人運び、413万5千円の収入がある。これは勿論大都会東京だからこそできる技だと言われればそれまでだが、他のとこだって結構万単位で人を輸送し何十万単位で収入を得ている。だからこその人のいるとこの鉄道。使用されなければ走らせる意味もないのだ。
にも係わらず、ソドウ島はやたら人の少ないところに線路が通っている気がする。点在する村や町を繋ぐために線路が走っていると思われるが、そんな小さな理由で維持してくなんてボランティアみたいな話でしょう。
ハット卿鉄道に勤める人だって無償奉仕してるわけじゃないんだから。
営団地下鉄としては資本金581億円、車両は2455両、職員数9918人。やはり凄い数だ。都会は違いますなあ。西鉄は資本金261億円の従業員6988人。この二つだけ考えてみても、やはり都会で需要があって収益があるからこそ、あの距離を維持できると思えませんか。
ソドウ島の人口であの距離を維持できんのか?
大体、営団の9918人の職員っていったら、ソドウ島の就業人口超えてる気がして仕方ないんですが。
そんなみんな機関士とかだったら、誰が電車に乗るんだよ。
ということで、別口から切り込んでみます。このまま田舎に路線を作らない会社と比べててもなんの足しにもならないや。だってソドウ島は第一次産業主体の田舎なんだから。
で、一番範囲の狭いだろうJR四国のデータを勝手に改竄して照らし合わせましょう。
JR四国の営業キロは856km、駅数256の車両数ひっくるめて441台。一日あたり990本の列車が運行されている。だから、単純に全てを4分の一にしてみたいと思います。
キロは214km、駅数64、車両数110台、一日あたり247本の列車がでていると。
社員数は3440人だから割って860人、資本金は8億7500万円としましょう。
なんかちょっと真実味帯びてきません?営団地下鉄の職員多すぎなんですよ。かといって地方に行くと悔しいことに200kmを誇る私鉄ないし。四国は4県、ちょうど4で割れば推定のソドウ島の大きさにマッチしそうじゃないですか。
なんかこれで落ち着きました。やっぱJRで参照した方が早かったか。
社員860人というのは保線区の人も含めたいと思います。よく線路工事とかトンネル補強作業とかやってる人。それでトータル860人ということで。
現在の円に換算すれば、この人数の従業員に給料払ったり保険払ったりするだけで月に2億は超えないか?ということは利益で2億はないと倒産ということになるか。
でもなあ・・・果たしてソドウ島で2億を稼ぎだすことができるか?やはり島は小さく路線は短いのか?いやどっちにしろ、距離が減って人数減る分稼ぎも減ると思われるからどっちでも関係ないか。
あ────も────、最初の仮定が大雑把だからどこで切り捨てていいやらわかんなくなってきたよー。 まあとりあえず、ソドウ鉄道は上記の規模としておきましょう。
これを維持するための収入はやはり観光客を充てこむしかない。島民だけで維持するのはやはり無理だ。だからハット卿も観光地開発に余念無いわけで。
とりあえず、休みになれば臨時列車増発、子供たちが海に遊びに行くというだけで専用列車を走らせてくれる呑気な経営者だが、そのチャーター料はバカ高いと見た。
でも交通機関はこれしかないから皆逆らえないわけね。
観光のコースは多々あって、それは全て鉄道路線で回る範囲にあるはずだ。送り迎えは機関車がやってたし、バスに客取られるようじゃ鉄道がつぶれる。で、前述とおり、860人、家族含めて2000人を超える人間を食わせていくためにはソドウ島の全てを掌握し、なおかつ人を呼び込むための新たなスポットを手堅く開発していかねばならない。
ディズニーランドみたいなもんだ。客寄せのためのアトラクション永久増殖。
ということはですね。
他の鉄道会社がいろんなグループを傘下に持つように、ハット卿も鉄道だけを仕切ってるわけじゃないんだよ。当たり前か。
観光地になりうる場所は全て抑えているのは当然のこととして、たまにやってるカーニバルや変な祭りも彼の主催で観光客を呼び込む手段に過ぎない。やってくる観光客のホテルも経営してるに決まってる。土地も多いだろうから、不動産関係にも手を出してるだろうし、案外バスなんかも彼の傘下に入ってたりして。
飛行場にいるハロルドを使うとこからそれも彼の持ち物かもしれず、飛行機のタイガーモス号のパイロットが危険な操縦をしてたことで「おまえは地上勤務に替えさせる!」と断言し相手もすごすご承諾するところから、航空関係にもハバを効かせているのだろう。
建設関係、宅配便の会社も興しているはずだ。公園を作りたいという人をハロルドで案内させてたことがあったが、あれにもハット卿が一枚噛むとみた。実際、災害があればハロルドが出動して物資を輸送することもあるし、彼のことだからマジでバスや電車で宅配便関係もこなしている気がする。
港を作ったのがハット卿で、そこからの荷物を運ぶのもハット卿の機関車。イギリス本土との連絡船ももしかしたらハット卿グループかもしれない。
大体クリケットを練習している人(第80話「試合中断」より)だって、ハット卿の会社が抱えているスポーツチームで、今度本土の大会に出るとかそんな話になってたりしてね。
思い当たること全てにハット卿が一枚絡んでるなあ。
ということは、実は鉱山や石切り場の運営もハット卿がやってんのだな。事故があれば何を置いてもかけつけて機関車を叱る彼、そりゃ勿論機関車の失敗が彼の事業の失敗に繋がるんだから叱りもするさ。
これなら、石炭採掘の現場があったとして、安価で燃料を仕入れることも可能だし、自分の建設会社にトンネル等の修理依頼をすれば費用は易くあがるだろう。
もう、ソドウ島はハット卿なしでは考えられない。
よくある話で、彼に逆らえば島にはいられない、そういうことになりはしないだろうか?
まあここで救いになるのは、彼が基本的にいい人ってことですね。それは幼稚園の園長に類似する程度に。
観光地を見つけては、
「うむ、ここはいいスポットになるぞ」 という程度の金儲けしか考えないくらいでよかった。
災害になれば他のことを置いて機関車を救援に寄越し、キンバリー夫人が嘆いていれば彼女だけの特別列車を走らせ、機関車が働きすぎだと知ればきちんと休暇をとらせ、休みシーズンには特別列車、牧師さんのパーティーに協力しつつ、幼稚園児並みの自我を持つ機関車たちを飴と鞭で教育する。
どれだけ大きな失敗をしても、その後もう一度チャンスをくれる、なんていう上司滅多にいないですよ。そのうえ、機関車たちが勝手にどっかから持ってきたスクラップ寸前の機関車を、怒るでもなく迷惑がるわけでもなく、全て仲間に入れ修理し仕事をさせるその気前のよさ。
まあたまに理不尽な怒り方もするけども、そんなのどうってことない。機関車たちに慕われているのもうなずける。
こんなに気前よく金を出せるっていったら、やはり相当の資産家か、余程鉄道がもうかってるかのどっちかだ。
良かった、性格いい人で。悪かったら独裁権力でやりたい放題だよこの人。
そんな彼の資産はそれじゃあどのくらいか?
私は結局少ないんじゃないかな?と今思いました。それにしても一般人よりだいぶ裕福だとは思いますが。
資産は億単位で所有してるけど、現金よりも土地や機関車系の財産が半分以上を占めてる気がする。
よく事故る機関車の尻拭いに金がかかるから、それの費用と社員の給料、年間の設備投資、それらに対する利用者の人数を考えると────鉄道は損益五分で、それ以外の副業からの利益が多く、けれども合わせるとまあまあ手元に資産が残る、という程度じゃないかな。
あまり娯楽好きには見えないから、こつこつ貯金していって、かなりの資産持ちというレベルみたいな。────いやまてよ。キンバリー夫人等のために酔狂なまでの演出を施すってことは(第111話「ひとだすけ」より)、そうしたことに金使いすぎて実は金もってなかったりして。いや金持ってるからこその酔狂か。
鉄道会社を興した当時は苦労したと思うよ。それとも彼は2代目3代目あたりの人なんだろうか?
そういえばデューク健在の頃は登山鉄道のオーナーじゃなかったのに、探しに行きたいという人々の嘆願のとこで許可を出していたのは彼だった(71話「ガミガミじいさん」72話「眠り姫をさがせ」より)・・・・・・よし。
彼は3代目のお気楽田舎社長ということにしときましょう。
狭い社会で手広く会社を経営するやり手実業家。
いい響きですなあ。
これからも、過疎化が進みそうなソドウ島でやたら長い線路をがんがん維持していって欲しいものです。
ほんとに維持費かかるからな。頑張れよ。
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